[I-P2-2-05] 22q11.2欠失症候群に合併した両大血管両室起始症の一例
キーワード:両大血管両室起始症, 22q11.2欠失症候群, 両大血管右室起始症
【緒言】両大血管右室起始症(DORV)は広い範囲の形態異常を含み心室中隔欠損(VSD)と大血管の位置関係でさらに分類される。doubly committed VSDはDORVから両大血管左室起始症(DOLV)までの形態を含んでいる可能性があり、中でも両大血管が両心室に騎乗する場合、両大血管両室起始症(DOBV)と称される。今回、我々は22q11.2欠失症候群に合併したDOBVを経験した。【症例】在胎37週4日、2532gで出生。生後チアノーゼがあり当科に紹介。心エコー検査にてVSDを伴う完全大血管転位症(TGA)もしくはDORV with doubly committed VSDと診断。心不全があり、日齢13に肺動脈絞扼術を施行。術後、酸素飽和度は70~80%で経過。生後10か月時に心内修復術を施行。術中所見でconus defectを伴うDORV with doubly committed VSD と診断したが、outlet septumと心室中隔の軸が直交しており空間的に左室から大動脈、右室から肺動脈のreroutingが困難と判断、また、大動脈スイッチを行ってもreroutingは困難と判断されDOLVのごとく左室流出路を確保しDKS吻合を行い右心室から肺動脈へは自己組織を用いたmodified Rastelliにて再建を行った。術後、左室機能低下に伴う拡大を認め抗心不全治療を行った。フォローの心臓カテーテル検査では軽度肺動脈弁逆流を認めたが左室機能は改善傾向であった。近年発表されたDOBVの報告と本症例の各所見が合致しておりDOBVと診断した。【考察】22q11.2欠失症候群に合併したDOBVの報告は初めてである。DOBVのエコー所見としては剣状突起下からの画像でDORV、DOLV、TGAの所見が描出されるのが特徴的である。また、修復時のreroutingには工夫が必要であり、術前にDOBVの診断が確定される必要がある。