[I-P2-2-07] 出生直後に高度の肺うっ血をきたし単心室修復に進むか二心室修復に進むか判断に難渋したborderlineLVの1例
Keywords:borderlineLV, MS, CoA
【症例】在胎38週2日,体重2515gで出生した男児.診断はMS,bicuspid AV,ARSCA,PLSVC,CoA.LSCAは動脈管と同じ高さから起始. PFOは径1mmで左右血流はmeanPG 17mmHgで左房は右房側に凸.LVDdは94% of Normal.LVからDAoまで順行性血流を確認した.LA reservoir strain 3.4%,LVGLS 6.6%と左房・左室機能ともに不良だった.出生後にLipoPGE1を開始した.出生数時間後の胸部レントゲンで肺うっ血像が増悪した.LA圧上昇による肺うっ血と判断したが,左室適応障害の影響も考慮して緊急BASは行わず,カテコラミンを開始し挿管管理を行なった.日齢7に動脈管由来のridgeによるCoAの進行を認めた.肺うっ血の改善もなく手術介入が必要と考えられたため,日齢10に心臓カテーテル検査を行なった.LVEDP 13mmHg,LPAwedge 13mmHg(mean),AAoからDAoの引き抜き圧較差 15mmHg,Qp/Qs 1.36,Rp 4.18U/m2. 検査中に心房頻拍のため二度の心肺蘇生を要した.僧帽弁での圧較差は明らかにはなく,左心不全によるLVEDP上昇がLA圧高値の主因と考えられた.後負荷改善のため一期的な大動脈弓再建術を行う予定としたが,カテ翌日に血便が出現した.人工心肺下での大動脈弓再建術はリスクが高いと判断し手術を延期した.日齢15にCoAがさらに進行した.大動脈弓からの順行性血流が動脈管に吹き込む形態をしていたため,動脈管は下半身循環に悪影響と判断した.日齢17に動脈管結紮術を施行した.その後血便は改善したが,肺うっ血は続いたため日齢25に大動脈弓再建術を施行した.術直後からLV及びLAの動きは改善した.肺うっ血は徐々に改善し,日齢47に抜管した.Archの狭窄はないがMVflow meanPG 17mmHgとMSの顕在化を認めた.呼吸状態は良好で退院調整中である.【考察】出生直後にLA圧上昇による高度の肺うっ血を来したが,現時点では二心室循環が成立している症例を経験した.単心室循環を目指すか二心室循環を目指すか臨床的に議論が必要であり,判断に難渋した症例だったため報告する.