[I-P2-2-09] 新生児Ebstein奇形におけるfragmented QRSの意義
キーワード:Ebstein奇形, 新生児, fragmented QRS
【背景】分裂様QRS(fragmented QRS, fQRS)は心室内伝導障害の指標として、様々な心疾患の診断や予後予測に有用とされている。
【目的】新生児Ebstein奇形のfQRSをはじめとした心電図変化と臨床像、予後との関連について明らかにする。
【方法】2016年4月から2022年1月の期間に当院NICUへ入院したEbstein奇形を対象とした。大血管転位を合併した例は除外した。患者背景、NICU入院時と最終受診時の検査所見について診療録より後方視的に検討を行った。結果は中央値(範囲)で示した。
【結果】対象は7例(男3、女4)で最終受診時の年齢は1.4歳(1か月-5.0歳)だった。出生週数は38(35-40)週、出生体重は2564(2236-3141)gだった。初診時の胸部X線での心胸郭比は0.78 (0.63-0.95)だった。心臓超音波検査では全例で重度の三尖弁逆流があり、Celemejer indexは1.20(0.38-1.30)だった。2例は器質的肺動脈弁閉鎖で5例の肺動脈弁逆流は軽度だった。4例で新生児期にStarnes手術+BT shunt術を行い、2例は周術期に死亡、2例はFontan手術へ到達した。初回の12誘導心電図ではPR時間95(72-142)ms、QRS時間76(51-107)ms、右房負荷4例、顕性WPW症候群2例だった。5/7例でfQRSが見られ、3例は側壁誘導(I, aVL, V6)と下壁誘導(II, III, aVF)、1例は側壁誘導と前壁誘導(V1-V5)、1例は前壁誘導のみで観察された。fQRSの見られた4/5例はその後Starnes手術が行われ、1/5例とfQRSのなかった2例は二心室循環が成立していた。死亡例を除いた最終受診時の12誘導心電図ではPR時間106(72-138)ms、QRS時間80(64-103)msだった。fQRSは4/5例で見られ、Fontan到達2例はStarnes術後から前壁、側壁、下壁誘導の全てでfQRSが観察された。
【まとめ】新生児重症Ebstein奇形では、PR, QRS時間に経時的変化はなかった。出生直後からfQRSが見られる症例は、Fontan trackとなる可能性が高く、Fontan手術後もfQRSが残存する可能性が高いことが示唆された。
【目的】新生児Ebstein奇形のfQRSをはじめとした心電図変化と臨床像、予後との関連について明らかにする。
【方法】2016年4月から2022年1月の期間に当院NICUへ入院したEbstein奇形を対象とした。大血管転位を合併した例は除外した。患者背景、NICU入院時と最終受診時の検査所見について診療録より後方視的に検討を行った。結果は中央値(範囲)で示した。
【結果】対象は7例(男3、女4)で最終受診時の年齢は1.4歳(1か月-5.0歳)だった。出生週数は38(35-40)週、出生体重は2564(2236-3141)gだった。初診時の胸部X線での心胸郭比は0.78 (0.63-0.95)だった。心臓超音波検査では全例で重度の三尖弁逆流があり、Celemejer indexは1.20(0.38-1.30)だった。2例は器質的肺動脈弁閉鎖で5例の肺動脈弁逆流は軽度だった。4例で新生児期にStarnes手術+BT shunt術を行い、2例は周術期に死亡、2例はFontan手術へ到達した。初回の12誘導心電図ではPR時間95(72-142)ms、QRS時間76(51-107)ms、右房負荷4例、顕性WPW症候群2例だった。5/7例でfQRSが見られ、3例は側壁誘導(I, aVL, V6)と下壁誘導(II, III, aVF)、1例は側壁誘導と前壁誘導(V1-V5)、1例は前壁誘導のみで観察された。fQRSの見られた4/5例はその後Starnes手術が行われ、1/5例とfQRSのなかった2例は二心室循環が成立していた。死亡例を除いた最終受診時の12誘導心電図ではPR時間106(72-138)ms、QRS時間80(64-103)msだった。fQRSは4/5例で見られ、Fontan到達2例はStarnes術後から前壁、側壁、下壁誘導の全てでfQRSが観察された。
【まとめ】新生児重症Ebstein奇形では、PR, QRS時間に経時的変化はなかった。出生直後からfQRSが見られる症例は、Fontan trackとなる可能性が高く、Fontan手術後もfQRSが残存する可能性が高いことが示唆された。