[I-P2-6-01] 心室頻拍による心不全管理に難渋したTOFの乳児
Keywords:心室頻拍, Fallot四徴症, アブレーション
【背景】乳児期のVTは診断・治療によく難渋する。今回、TOFで肺血流維持にPTPVおよびICRの適応と考えられる一方で、VTを合併し薬剤でのコントロール不良の為アブレーションを要した。しかし、無酸素発作を誘発することが懸念されたので、ICRを行った後にアブレーションを行い治癒した症例を経験したので報告する。【症例】胎児期よりTOFと十二指腸閉鎖が指摘され、胎児機能不全のため緊急帝王切開にて32週5日で出生した。日齢20から弁下狭窄に対してカルテオロールを開始した。2カ月時にAVRTを発症し、フレカイニド・プロカインアミドを開始した。3カ月時に無酸素発作を起こし、BTシャント術を行うも後に閉塞したためPTPVを行った。治療後SpO2は改善したが頻脈性不整脈はコントロール困難であった。HR140-150bpmのVTと判断し、アミオダロン持続静注およびTP・プロカインアミドを間欠的に使用するもコントロール不良であり、4カ月時からは心不全徴候が出現し頻拍誘発性心筋症として不整脈治療が急がれた。その後、様々な抗不整脈薬を使用するもコントロール不良の為アブレーションが必要と判断し、6カ月時で他院へ紹介した。転院後もVTは繰り返され、フレカイニド使用し洞調律に回復した。RVOT起源のVTが考えられたが、アブレーション施行には無酸素発作のリスクが高いと判断し、ICRを先行した。術後もVTのコントロールがつかず、7カ月時にアブレーションを行い消失した。その後は再燃なく経過している。【考察・結語】特発性心室頻拍は流出路起源と左室束枝起源に大別され、今回は心電図波形などから前者が考えられた。治療としては通例早期アブレーションの適応だが、本症例では無酸素発作の誘発を危惧して、低月齢ながらもICRを先行させ、のちにアブレーションを行い良好な経過をたどっている。心内奇形を伴う特発性心室頻拍の報告は過去に少なく、今回の治療戦略は今後同様な症例の治療選択の一助となり得ると考える。