[I-P2-6-03] 当院で経験したPA-IVSに対して1.5心室修復を施行した症例の検討
キーワード:純型肺動脈閉鎖, 1.5心室修復, カテーテル治療
【背景】純型肺動脈閉鎖(PA-IVS)は、三尖弁輪径(TVD)、右室拡張末期容積(RVEDV)、右室三腔構造、右室依存性冠循環の有無などを参考に二心室治療(BVR)から単心室治療(SVR)まで幅広い治療方針を取り得るが、それらの画一された基準はない。 【目的】当院で経験したBVRを目指して繰り返しPTPVを行ったが、最終的に1.5心室修復(1.5VR)とした2症例から、既報の治療基準の妥当性を検討する。 【方法】2012年から2021年までに当院で治療を行い、1.5VRへと至ったPA-IVS2例の右室構造、TVD、RVEDVのPTPV後の推移を後方視的に検討した。また、BVRに到達した重症肺動脈弁狭窄4例(cPS群)のPTPV後のTVD、RVEDVの推移との違いを検討した。 【結果】PA-IVSの2例の右室は三腔構造で、右室依存性冠循環は認めなかった。TVDはcPS群はPTPV後に成長したのに対して、PA-IVSでは成長を認めなかった(TVD z-score: cPS群: pre -0.01 ± 0.55 vs. post 0.775 ± 0.60; PA-IVS1: pre -1.02 vs. post -1.55, PA-IVS2 : pre -1.23 vs. post -1.38)。RVEDV(% of Normal)はPA-IVSの2例の方がcPSに比較し小さかったが、cPS群、症例1, 2 のいずれにおいてもPTPV後に成長を認めた(cPS群 : pre 102 ± 23.9 vs. post 109 ± 11.4%, 症例1 : pre 64.1 % vs. post 78.0%, 症例2 : pre 80.6 % vs. post 90.1%)。 【考察】症例1, 2 のいずれもTVD、RVEDVはやや小さいものの、既報からはBVRが成立し得ると考えられた。症例1では出生後より形態的な三尖弁開放制限を認め、卵円孔閉鎖に伴い三尖弁狭窄が顕在化したこと、症例2ではPTPVを繰り返すも有効な減圧が得られず、右室流出路狭窄が進行したことが1.5VRへと至った他の要因として考えられた。 【結論】既報のBVRの基準を満たしても1.5VRにせざるを得ないPA-IVS症例が存在する。治療方針を検討する際には三尖弁輪径、右室容積の他、三尖弁開放制限・右室流出路狭窄も含めた議論が必要である。