[I-P2-6-07] フォンタン術後遠隔期に発症した血栓閉塞性病変に対するAgilis NxT Steerable Sheathの有用性
Keywords:Fontan, 静脈血栓, Agilis
【はじめに】Agilis NxT Steerable Sheathは先端部が柔軟な可変式シースで、8.5 Fr (2.8mm) の広い内径を持つ。不整脈治療において、カテーテルの操作性と心筋との接触力を改善する目的で使用される。今回通常のカテーテルでは治療困難であった血栓閉塞部位に対してAgilisが有用であった2例を経験したので報告する。【症例 1】22歳女性。Ebstein病に対して4歳時にフォンタン手術を施行。術後5か月で蛋白漏出性胃腸症発症。22歳時、左頸部・腋窩・前腕に疼痛、腫脹あり、外来を受診した。造影CTで無名静脈から左内頚静脈・鎖骨下静脈に血栓認め、緊急で経カテーテル的血栓溶解・吸引術を施行した。FOUNTAIN Infusion catheter、ウロキナーゼを用い血栓溶解術を施行したが効果なく、7Fr Eliminate+(内腔1.3mm)で血栓吸引を行うも困難であった。Agilis(内腔2.8mm)で血栓吸引が可能となり、内頚静脈・鎖骨下静脈の再開通が得られた。【症例2】14歳女性。房室中隔欠損、大動脈離断に対して5か月時にNorwood+Glenn術施行。術後に左肺動脈が閉塞し、カテーテルで再開通後にステント留置 ( Palmaz Genesis 6mm*18mm)。4歳時にフォンタン手術施行。12, 13歳時に左肺動脈狭窄に対してバルーン拡大術施行。14歳時に左肺動脈完全閉塞を確認。ステント内にマイクロカテーテルは進むが、バルーンの追従は困難であった。Agilisによりカテーテルの安定性が向上し、バルーン拡大術を施行することができた。4日後にステント(Omnilink 9mm*29mm)を留置し以降開存を維持している。【考察】Agilisは可変式で病変部位へのアプローチを容易にし、病変部位到達後もカテーテルの固定性・安定性が向上しインターベンションが可能となった。また内腔が8.5Frと広いため、血栓吸引用の7Fr(外径)では吸引困難であった血栓の吸引も可能となり有用であった。