[I-P2-6-08] Fontan術後のカテーテルインターベンション
Keywords:Fontan術後, カテーテル治療, コイル
【背景と目的】機能的単心室患者の最終的姑息術として実施されるFontan術は、肺駆動心室欠如から心室後負荷増加、心室機能低下、静脈キャパシタンス低下等の特異な血行動態(Fontan循環)を呈し遠隔期への進行する循環不全へいざなわれる。その治療管理の中でカテーテル治療の役割を明らかにする。【方法】Fontan手術は153例のうち、2004から2021年までに実施したFontan術後患者のカテーテル治療例を検討した。【結果】83例(54%)、延べ113回のカテーテル治療を行った。カテーテル治療実施時年齢は9.3歳であった。コイル塞栓術82例(90回:80%)、肺動脈形成術17例のべ25回(うちステント留置1例)、大動脈形成術2例のべ2回(うちステント留置1例)であった。コイル塞栓術のうち静脈-静脈側副路45例のべ51回、体動脈肺動脈側副路38例のべ40回であった。コイル塞栓術によって酸素飽和度は平均91.4%から94.4%となり(P=0.001)、肺動脈形成術により中心静脈圧は12.0mmHgから10.8mmHgとなった(P=0.018)。合併症は113件中4例(3.5%)で、コイル塞栓術時のコイル遊走2例、血管損傷2例、血管形成術時の一過性房室ブロック1例であった。【考察】より良いFontan循環維持のためには、(1)十分な体静脈から肺動脈ルート確保のための積極的な血管形成術、(2)有効肺血流維持と心室容量負荷軽減のための体肺動脈側副血管の塞栓、(3)チアノーゼや血栓性塞栓症予防のための肺動静脈瘻や体静脈-肺静脈側副血管の塞栓、等のインターベンションが欠かせない。コイル塞栓術において、体肺静脈側副血管においては、塞栓によってチアノーゼを改善させる反面、生存率を低下させる報告も見られるので議論が必要である。