[I-P2-6-09] 腫瘍破裂による出血性ショックに対して経カテーテル的動脈塞栓術を行なった腎芽腫の1例
Keywords:経カテーテル的動脈塞栓術, 腎芽腫, 腫瘍破裂
【背景】小児固形腫瘍の破裂による大量出血は、頻度は多くないもののOncologic emergencyの1つであり、迅速かつ適切な介入が求められる。【症例】2歳10ヶ月の女児。顔色不良・活気不良のため前医へ救急搬送され、ショック状態であった。造影CT検査では右腎の巨大な腫瘍性病変と大量の腹水・出血を認め、腫瘍破裂による出血性ショックの診断で当院へ転院搬送となった。輸血を行なっても貧血が進行しており、出血コントロールと全身状態安定化のため手術に先行して経カテーテル的動脈塞栓術(transcatheter arterial embolization:TAE)を行う方針とした。右大腿動脈に4Frシースを留置し、0.035inchガイドワイヤーを先進させて4Fr JR2.0を用いて右腎動脈造影を行なった。右腎から連続する血管にExtravasationを認めた。右副腎動脈などの正常血管は認めなかった。その後遠位型可動式治療用カテーテル(レオニスムーバR)を使用して再び右腎動脈造影を行なったが、同様の所見であった。4Fr JR 2.0を親カテ、レオニスムーバRを子カテとして、腎動脈遠位側にマイクロカテーテルを挿入し順にコイル塞栓術を行うこととした。塞栓前の血管径は1mm台で、まずInterlockTM3mm×6cmでアンカーを形成、続いてGalaxy G3TM2mm×8cmを2個、同2.5mm×5cmを2個留置し、最後にInterlockTM3mm×6cmを2個留置して塞栓を完了した。止血に伴いバイタルサインの改善が確認できた。TAEに引き続いて同日、右腎腫瘍摘出術を行い病理所見から腎芽腫の診断となった。【考察】幼児例の固形腫瘍破裂出血に対してのTAEは体格や血管径の問題や実施施設が限られるという側面もあり稀であるが、出血制御が難しい場合などに対しては全身状態の安定化に寄与し、有効な治療選択肢となり得ると考えられた。