[I-P2-6-11] Norwood手術ハイリスク機能的単心室症例における動脈管長期開存維持-すべての症例にステント留置は必要ではない-
Keywords:動脈管ステント, 両側PAB, HLHS
【背景】低体重,染色体異常や心機能低下を合併したHLHS に対して両側PAB(bPAB)が初回手術として用いられるようになり生存率は向上し,HLHS類縁疾患にも適応されるようになっている.さらに合併奇形などからNorwood手術適応外の症例においては,動脈管(DA)にステント留置し長期外来管理している症例が散見されるが,retrograde CoAやステント再狭窄の問題点がある.当院でNorwood手術適応外と判断しステント留置を計画した4例について報告する.【症例1】診断はCHARGE症候群,IAA(B),multiple VSDs,ASD,DA.生後14日にbPABを施行.プロスタグランジン製剤(PG)投与下でDA狭窄所見を認めなかった.生後5か月時にステント留置をスタンバイしPGを中止したが,DAの閉鎖傾向なく,ステント留置は行わなかった.以後11年間,DA狭窄を認めない.【症例2】診断はHLHS(MS, AS),ASD,DA,蘇生後脳症,心機能低下.生後3日にbPAB施行.PG投与下でもエコーでDA壁の新生内膜肥厚を疑わせるridgeによる狭窄所見を認め生後2か月にDAステント留置を施行した.慢性心不全治療薬導入し,生後1歳7か月時にNorwood手術耐術した.【症例3】診断はTrisomy 22,極低出生体重児,CoA,SRV,ASD,DA.生後4日にbPABを施行.PG投与下でもエコーでDA壁の新生内膜肥厚を疑わせるridgeによる狭窄所見を認め生後26日に動脈管ステント留置を行ったが,心機能低下残存し救命できなかった.【症例4】診断はCoA,SRV,ASD,DA,主気管狭窄,脳梁欠損.生後10日にbPABを施行.PG投与下で,エコー上DA狭窄所見を認めなかった.生後4か月時にステント留置をスタンバイしPGを中止したが,DAの閉鎖傾向なく,ステント留置は行わなかった.以後半年間,DA狭窄を認めない.【結語】体血流がDAに依存している血行動態において,PG中止後もDA狭窄を認めない症例があり,その選別には4~5か月間の長期PG投与下でのDA壁ridgeの有無が重要である.