第58回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター発表

多領域

ポスター発表(I-P3-1)
多領域 I

2022年7月21日(木) 16:20 〜 17:20 ポスター会場

座長:檜垣 高史(愛媛大学大学院 医学系研究科地域小児・周産期学講座/移行期・成人先天性心疾患センタ)
座長:村上 智明(札幌徳洲会病院 小児科)

[I-P3-1-06] 特発性心室性頻拍及び頻拍誘発性心筋症による急性心不全を発症した児に対する、集学的治療後の理学療法の経過

金田 直樹1, 名和 智裕2 (1.北海道立子ども総合医療・療育センター リハビリテーション課, 2.北海道立子ども総合医療・療育センター 小児循環器内科)

キーワード:ICU-AW, 理学療法, ADL回復

【背景】集学的治療後、ICU-acquired weakness(AW)と思われる筋力低下を生じた児の、理学療法とADLの回復経過を報告する。
【症例】2歳男児、87 cm、14 kg、既往歴なし。1週間前から顔のむくみを認め、呼吸苦、顔色不良が出現し前医を受診。心拍数 230/分の頻拍発作を認め、発作性上室性頻拍と診断。ATP静注、電気的除細動実施も改善せず当院PICUに搬送。胸部X線で心拡大、胸水貯留を認め人工呼吸器管理を開始。ATP静注で房室解離を認め心室頻拍(VT)と診断、ベラパミル静注で洞調律に復した。しかしVTが再燃、第2病日にV-A ECMOを導入、アミオダロン静注を開始し約12時間で頓挫。第3病日に急性腎不全の為CHDFを導入。第4病日にV-A ECMO、第7病日にCHDFを離脱。経過中CK上昇なく心収縮改善も速やかで、特発性VTによる頻拍誘発性心筋症と診断。第11病日に抜管、アミオダロン静注を中止しフレカイニド内服を開始。抜管後、覚醒時の四肢や頸部・体幹定位運動が乏しく、Medical Research Council(MRC) scoreが13点の状態だった。
【理学療法経過】第2病日から介入。第6病日に無気肺を認め呼吸理学療法を強化し第11病日に抜管。嚥下スクリーニング後、バギー乗車で離床時間を確保し、第14病日に一般病棟へ転棟後以降は、中断基準に則りプローンボード(立位台)を実施した。第17病日に頭部定位、第20病日に床座位保持可能となった。以降は上下肢運動が増加し、第22病日につかまり立ちが可能となった。第23病日に介助歩行、第35病日に短距離独歩及び片手繋ぎ歩行100m以上可能になり不整脈再燃もなく退院に至った。第42病日の外来受診時には2足1段階段昇降が可能になるまで回復した
【考察】ICU-AWを発症した児に対する負荷量や運動療法の報告は未だ少ない。モニタリングは勿論、医師や看護師と全身状態を共有し、家族からの児の状態の聞き取りをふまえ負荷量を漸増した。さらに、生活場面で家族の負担ない範囲でプログラムを展開した事がADL回復に寄与したと考えられた。