[I-P3-1-07] 38年間使用したペースメーカリードが被膜断線を生じリード追加を要した単心室の一例
キーワード:CIEDs, Fontan, 心外膜
【背景】単心室に対して心臓植込みデバイスの植込み術を施行する場合、心室がsystemic chamberとなるため心外膜側にペーシングリードを留置することが一般的である。しかしながら、心外膜リードは経静脈リードに比べてリードの耐久性が低いことに加え、リード断線などのトラブルが発生した場合には、再開胸が必要となり大きな侵襲が伴うことが問題となる。
【症例】症例は、未修左室型単心室の58歳女性。20歳時、完全房室ブロックを発症し、近医にて心外膜リードを用いたペースメーカ植込み術を施行された。以降、デバイス交換術を重ね、x年3月(新規植込みから38年後)に電池消耗のため、ペースメーカ電池交換術目的に当院に入院となった。電池交換術の際に、リードの閾値上昇を認めたが、許容範囲のため出力を上げ手技を終了した。術翌日に再度デバイスチェックを行ったところ、心房、心室リードともに更なるパラメータの悪化を認めた。(心房リード: 抵抗値393Ω, 閾値1.0V/0.4ms, 波高値1.4mV → 抵抗値103Ω, 閾値1.5V/0.4ms, 波高値検出感度以下、心室リード: 抵抗値299Ω, 閾値2.0V/0.64ms, 波高値自己脈無し → 抵抗値100Ω以下, 閾値4.0V/1.0ms, 波高値自己脈なし)。以上の所見から被膜断線にともなう漏電が強く疑われ準緊急で外科的に心外膜リード再留置術を施行した。
【考察】Fontan術後を含めた単心室循環のペースメーカ植込み術は、リード留置部位が心外膜側となる。リードの追加留置には再開胸を要するため、リードに致命的な問題がない限り長期的に使用せざるをえないことが多い。しかしながら、リードの使用年数やリードの状態(リードパラメータ、耐久性が低い材質のリードなど)によっては電池交換時にリード損傷のリスクが生じる可能性が高い。単心室循環におけるデバイストラブルは致命的な状態になり得るため、手技を愛護的に行う、一時ペーシングの留置を検討することを考慮する必要がる。
【症例】症例は、未修左室型単心室の58歳女性。20歳時、完全房室ブロックを発症し、近医にて心外膜リードを用いたペースメーカ植込み術を施行された。以降、デバイス交換術を重ね、x年3月(新規植込みから38年後)に電池消耗のため、ペースメーカ電池交換術目的に当院に入院となった。電池交換術の際に、リードの閾値上昇を認めたが、許容範囲のため出力を上げ手技を終了した。術翌日に再度デバイスチェックを行ったところ、心房、心室リードともに更なるパラメータの悪化を認めた。(心房リード: 抵抗値393Ω, 閾値1.0V/0.4ms, 波高値1.4mV → 抵抗値103Ω, 閾値1.5V/0.4ms, 波高値検出感度以下、心室リード: 抵抗値299Ω, 閾値2.0V/0.64ms, 波高値自己脈無し → 抵抗値100Ω以下, 閾値4.0V/1.0ms, 波高値自己脈なし)。以上の所見から被膜断線にともなう漏電が強く疑われ準緊急で外科的に心外膜リード再留置術を施行した。
【考察】Fontan術後を含めた単心室循環のペースメーカ植込み術は、リード留置部位が心外膜側となる。リードの追加留置には再開胸を要するため、リードに致命的な問題がない限り長期的に使用せざるをえないことが多い。しかしながら、リードの使用年数やリードの状態(リードパラメータ、耐久性が低い材質のリードなど)によっては電池交換時にリード損傷のリスクが生じる可能性が高い。単心室循環におけるデバイストラブルは致命的な状態になり得るため、手技を愛護的に行う、一時ペーシングの留置を検討することを考慮する必要がる。