[I-P3-1-08] 完全房室中隔欠損症に併発した心房頻拍による心不全に開胸ECMO搬送を行った乳児例
キーワード:心房頻拍, central ECMO, ECMO搬送
【緒言】完全房室中隔欠損症(cAVSD)に併発した心房頻拍(AT)による心不全に対してcentral ECMOを導入し、ATの治療目的に、ECMO搬送を行った乳児例を経験したので報告する。【症例】月齢4男児。周産期歴に異常なし。月齢4で心雑音を主訴に当院に紹介。cAVSDと診断し、受診時心拍数230-250/minの頻脈を認め、その後の精査でATの診断に至った。β遮断薬やKチャネル遮断薬など複数の抗不整脈薬を使用したが治療に難渋した。第2病日ATは1対1伝導の高度頻拍・脈拍触知不能となり、短時間の胸骨圧迫で自己心拍再開、循環不全に対してcentral ECMO緊急導入とした。ECMO導入後もATは継続したためカテーテルアブレーションが実施可能な施設への搬送の方針となった。乳児central ECMOの搬送はリスクが高く、都立小児総合医療センター(以下、都立小児)のECMO搬送チームに協力を依頼した。その後ネット会議を繰り返し開催し患者の各種デバイス・ECMO機材調整と予備回路の手配、リスク評価、搬送経路、不搬送基準の確認などを行い2病院が協力して搬送することとした。第4病日、当院の小児科医師、小児心臓血管外科医師、クリニカルエンジニア(CE)に加え、都立小児搬送チーム 集中治療科医師、看護師、CEでECMOカーに加え不測の事態に対応するための余剰物品・人員を乗せたドクターカーを伴走させて搬送した。搬送は合併症なく、無事に終了した。また搬送責任の所在などは運営レベルでの調整を要した。【結論】本例はECMO搬送前に問題点を整理し、入念な搬送計画、チーム間の情報共有が十分に行えたため搬送に成功したと思われる。小児ECMO搬送事例の報告は極めて少ない。一例毎評価を行い、経験を報告、共有していくことで小児ECMO搬送の質が高まると考えられる。