[I-P3-2-01] 新生児期の心室頻拍で診断に至った先天性QT延長症候群の2例
Keywords:QT延長症候群, 新生児, モニタリング
【背景】胎児期に徐脈・房室ブロック・期外収縮などの不整脈が認められない新生児期発症の先天性QT延長症候群(LQTS)の早期診断は困難である。【症例1】LQTS type 1 在胎40週0日、出生体重2722g、家族歴に母がLQTS 1(KCNQ1変異)があり、プロプラノロール内服中であった。胎児期の異常指摘は無かった。出生後のQTcは480ms(HR:140/min)と正常範囲であったが、ECGモニタリングを継続したところ日齢1にTdPを認めた。遺伝子検査では母と同一のミスセンス変異を確認した。日齢1からプロプラノロールの内服を開始し、以後TdPは確認されていない。【症例2】LQTS type 3 de novo症例。在胎38週5日、出生体重3474g、家族歴や胎児期の異常指摘なし。出生直後からPVCを認めたためECGモニタリングが開始され、日齢1にTdPを認めた。QTcは583ms(HR:130/min)と延長しておりLQTSと診断した。プロプラノロールとメキシレチンの内服を開始したところTdPは抑制された。遺伝子検査ではSCN5A変異が確認されLQTS 3の診断に至った。現在14歳だが新生児期以降TdPは確認されていない。【考察】症例1は、胎児不整脈の指摘は無かったが家族歴を有しており、12誘導心電図やECGモニタリングを行ったところTdPが確認され、LQTS 1の診断に至った。症例2では胎児不整脈や家族歴は認めなかったが、多発するPVCのためECGモニタリングを開始したことでTdPが確認されLQTS 3の診断に至った。【結語】新生児期発症のLQTSの予後は不良である。また乳幼児突然死症候群の一因としても挙げられており、早期診断と治療介入方法の確立が課題である。新生児期に確認される不整脈の多くは、PACやPVCなどで経時的に改善するものが殆どであるが、それらをモニタリングすることで重大な不整脈疾患の診断につながることもある。我々が経験した2症例も生後のECGモニタリングの重要性を再確認されるものであった。