[I-P3-2-03] 遺伝性不整脈治療におけるナドロールの有効性
Keywords:ナドロール, 遺伝性不整脈, β遮断薬
【背景】先天性QT延長症候群(LQTS)の1型や2型、カテコラミン誘発性多形性心室頻拍(CPVT)において、β1非選択性であるプロプラノロールやナドロールの有効性が示されており、特にLQTS2においてはナドロールが推奨されている。【目的】LQTSやCPVTにおけるナドロールの有効性を検討する。【対象】2009年11月から2022年1月31日までに当科においてLQTSあるいはCPVTに対しナドロールを処方した症例。【方法】カルテ記載を用いた後方視的検討。【結果】症例は10例。年齢の中央値は15.5歳(1歳ー52歳)。LQTS1が3例、LQTS2が5例、CPVTが2例である。Torsades des Pointes(TdP)や失神イベントに対する二次予防で開始された症例が8例、家族例に対する一次予防で開始された症例が2例であった。他剤から変更になった症例が4例で、2例は無効、1例はふらつきによる不耐用、1例は治療強化のため変更となっている。観察期間は中央値48か月(5か月ー61.4か月)で、その間に2例のBreak through event(BTE)があった。2例ともLQTS2で、一例はふらつきのため常用量の半分しか投与されていなかった。いずれもICDを植え込まれ、ナドロール増量と共に心房ペーシングリズムとなっている。【考察】BTEが発生した症例でもナドロールを増量することで、最終的に全例においてコントロールが出来ている。徐脈となる症例では心房ペーシングを行う事で増量することが出来ている。他のβ遮断薬に比べて非選択性である事と半減期が長いことからコンプライアンスもよく、有効性が高いと考えられた。