[I-P3-2-05] 幼児期の発熱急性期にcoved型のBrugada様心電図を呈した2症例
キーワード:Brugada症候群, Brugada様心電図, coved型
【背景】Brugada症候群は右側胸部誘導における特徴的なST上昇と心室細動により失神や突然死を来す症候群で、約30%で遺伝子変異が同定される。明らかな症状や家族歴を有さない小児でBrugada様心電図が学校健診やその他の偶発的な機会に発見されることがあり、説明や生活管理に苦慮する。【症例】症例1 15歳男子。3歳時に川崎病急性期の心電図でV1のcoved型ST上昇が指摘された。失神の既往や家族歴はなかったが、幼児期には急な発熱の際にcoved型心電図を繰り返した。小学校入学後は発熱しなくなり、中学では室内競技の運動部に所属して無症状で経過しているが、14歳時の心電図では1肋間高位の右側胸部誘導(V1u-V3u)でcoved型を認めた。本人および両親の遺伝子検査では異常は指摘されていない。症例2 3歳男子。VSDで定期管理中。乳児期に明らかな心電図異常はなかったが、前日に38℃の発熱があった2歳時の定期検査時にV1でcoved型を呈した。以後も無熱時の心電図はBrugada様ではなかったが、3歳時の発熱急性期に再度coved型を呈し、非発熱時にもsaddle back型が疑われた。30歳の父親が職場健診でsaddle back型ST上昇を認め、当院での心電図でもV2uでcoved型が確認された。父親も含め突然死や失神の家族歴はないが、患児と父親の遺伝子検査を検討している。【考察】 Brugada様心電図を呈しても小児では致死性不整脈の発生は稀とされているが、発熱時に典型的心電図を呈し致死性不整脈が誘発された例も報告され、高体温時の積極的な解熱、炎天下での運動や高温の入浴を避けるなどの生活指導が重要とされている。また、Brugada様心電図は右側胸部誘導の高位肋間記録でより顕著になるため、突然死の家族歴や失神の既往のある例では有用と考えられる。【結語】Brugada様心電図を疑う小児例では詳細な家族歴聴取と高位肋間心電図の記録、および無症候例での発熱時の早期解熱、運動時の体温上昇回避等の生活指導は重要である。