[I-P3-2-06] 胎児期より心室頻拍を呈し、出生後に高度房室ブロックを合併した先天性QT延長症候群3型の1例
キーワード:QT延長症候群, 胎児心室頻拍, 新生児房室ブロック
【背景】胎児頻拍の多くは上室頻拍で、心室頻拍(VT)は稀である。今回、胎児期よりVTを発症し、出生後、高度房室ブロック(AVB)を併発、体外式一時ペーシング(tPM)を要し、QT延長症候群3型(LQT3)と診断した症例を経験したため、報告する。
【症例】現在8か月の男児。在胎25週から胎児心拍数300bpmの非持続性VTと診断され、在胎33週から胎児水腫が出現した。母体へ硫酸マグネシウム(Mg)を投与し、一時VTは減少したが、胸水貯留、VT頻度の増加を認め、胎児循環不全と診断し、在胎35週0日、体重2590g、予定帝王切開にて出生した。出生直後は心室期外収縮の散発のみであったが、生後2時間頃より多形性VTが増加し、発作毎に血圧の低下、脈波の消失を認めた。間欠期の心電図でQTc時間630msecであったためLQTを疑い、生後4時間でランジオロールの持続投与、Mg投与を開始した。VTの改善なく、さらに、生後8時間よりAVBが出現、ランジオロールを減量したが、AVBは改善せず、VTの頻度が増加した。日齢1で心外膜リードによるtPMを開始、ランジオロール増量、メキシレチン持続静注を開始し、VTは消失した。AVBも改善し、日齢12でペーシングを終了した。日齢4に遺伝子解析を行い、SCN5A遺伝子の病的バリアント(R1623Q)を認め、LQT3と確定診断した。抗不整脈薬を静注からプロプラノロール、メキシレチンの内服に切り替え、VT、AVBの再発なく日齢87で退院した。
【考察】LQT3と確定診断した後、β遮断薬に加えてメキシレチンを導入し、不整脈は著明に改善した。LQT3はLQT1に比し、胎児・新生児期にVTやAVBの頻度が高く、より重症であることが報告されている。複数のR1623Q症例で集学的治療にも関わらず心停止に至ったことが報告されており、遺伝子型と心表現型の相関が示唆される。新生児期のLQTの遺伝子診断は、予後の推定、より有効な治療の選択に有用である可能性がある。
【症例】現在8か月の男児。在胎25週から胎児心拍数300bpmの非持続性VTと診断され、在胎33週から胎児水腫が出現した。母体へ硫酸マグネシウム(Mg)を投与し、一時VTは減少したが、胸水貯留、VT頻度の増加を認め、胎児循環不全と診断し、在胎35週0日、体重2590g、予定帝王切開にて出生した。出生直後は心室期外収縮の散発のみであったが、生後2時間頃より多形性VTが増加し、発作毎に血圧の低下、脈波の消失を認めた。間欠期の心電図でQTc時間630msecであったためLQTを疑い、生後4時間でランジオロールの持続投与、Mg投与を開始した。VTの改善なく、さらに、生後8時間よりAVBが出現、ランジオロールを減量したが、AVBは改善せず、VTの頻度が増加した。日齢1で心外膜リードによるtPMを開始、ランジオロール増量、メキシレチン持続静注を開始し、VTは消失した。AVBも改善し、日齢12でペーシングを終了した。日齢4に遺伝子解析を行い、SCN5A遺伝子の病的バリアント(R1623Q)を認め、LQT3と確定診断した。抗不整脈薬を静注からプロプラノロール、メキシレチンの内服に切り替え、VT、AVBの再発なく日齢87で退院した。
【考察】LQT3と確定診断した後、β遮断薬に加えてメキシレチンを導入し、不整脈は著明に改善した。LQT3はLQT1に比し、胎児・新生児期にVTやAVBの頻度が高く、より重症であることが報告されている。複数のR1623Q症例で集学的治療にも関わらず心停止に至ったことが報告されており、遺伝子型と心表現型の相関が示唆される。新生児期のLQTの遺伝子診断は、予後の推定、より有効な治療の選択に有用である可能性がある。