[I-P3-2-10] 難治性心室性不整脈、QT延長を合併した巨大心臓横紋筋腫の乳児例
Keywords:心臓横紋筋腫, 心室性不整脈, QT延長
【背景】横紋筋腫は小児心臓腫瘍で最も頻度が高く、無症状で自然退縮することが多いが難治性不整脈を合併すると予後不良となることがある。近年エベロリムスの腫瘍退縮効果は示されつつあるが 、不整脈への効果について評価は定まっていない。【症例】8カ月女児。胎児期に心臓横紋筋腫と結節性硬化症を指摘され、生後に両心室流出路狭窄と難治性不整脈を認め、前医で生後2か月までエベロリムスを投与された。7か月時にWest症候群の治療目的に入院した際にQT延長と心室性不整脈を認めた。心室性不整脈は薬剤抵抗性でβ-遮断薬、メキシレチンの効果は乏しく、ペーシングも無効であった。腫瘍縮小に伴う不整脈の改善を期待し入院29日目からエベロリムスを再開し、四腔像で35×26mmであった腫瘍は入院85日目で29×12mmまで縮小したが不整脈のコントロールは得られなかった。入院89日目に無脈性心室頻拍のため、一時的にECMOを要した。アミオダロンで洞調律が得られたためECMOを離脱できたが10-15μg/kg/minと高用量を必要とし、気管切開下で長期の鎮静を必要とした。循環不全による消化管穿孔を合併し敗血症で死亡した。QT延長症候群の遺伝子検査では既知の変異は認めなかった。【考察】心臓横紋筋腫に合併した不整脈に対して、エベロリムスによる腫瘍縮小が有効であったとの報告は散見される。本症例ではエベロリムスを計12週間投与し腫瘍は縮小したが心室性不整脈の改善は得られなかった。腫瘍サイズと不整脈合併の関連性については報告があり、またQT延長を合併した難治例の報告はなく本症例に特徴的であった。【結語】難治性心室性不整脈、QT延長を合併した心臓横紋筋腫の乳児例を経験した。腫瘍が大きく、心室性不整脈は治療抵抗性であり、予後不良因子となった。