[I-P3-3-02] 横浜のACHD移行診療(YCUモデル)における専門循環器内科医のインパクト
キーワード:成人先天性心疾患, 移行診療, 循環器内科
【背景】当院では2016年よりACHD診療を専攻した循環器内科医の招聘により、小児科で長期フォローしていた患者の一部も、院内で緊密な意思疎通を計りながら30歳を目安に、主科を内科移行してきた(YCUモデル)。【目的】当院で小児科から循環器内科へ移行した患者の転帰から、小児循環器医と内科医診療の果たしてきた役割と今後を考察する事。【方法】2021年内に当院通院中で年末に満30歳以上のACHD患者を対象として、ACHD内科移行群(A群)43例、年齢中央値41歳(33-66)、内科移行後期間4年(0.2-9.7)と小児科継続診療群(P群)63例、年齢中央値36歳(30-61)の症例背景、治療介入内容等を比較した。【結果】背景のCHDをガイドラインに沿って単純型と中等症以上に分類するとA群の心疾患背景は単純型9(未修復5例)、中等症以上34(未修復6例)に対してP群では単純型13例(未修復9例)、中等症以上50例(未修復10例)であった。心血管イベント(心不全/頻拍発作/心内膜炎等)はA群で7例(16%)、P群で9例(14%)にあり、治療介入[A群(内科移行後)vsP群(10年以内)で示す]として薬剤導入3(7%)vs12(19%)、Pacemaker導入または変更0(0%)vs2(3%)、Catheter治療(CI)3(7%)vs2(3%)、Ablation(CA)4(9%)vs3(5%)、外科手術(SI)5(12%)vs1(2%)であった。死亡はP群の心不全1例のみであった。【考察】内科移行例では診療移行を契機としたCI/CA/SI等の侵襲的な追加介入が比較的積極的に選択される傾向があった。一方で小児科からの移行診療はACHD診療の一部に過ぎず、対照患者の4割程度の移行に留まっている。マンパワー確保や体制整備の不充分な現状では小児循環器医の担う役割は依然として大きい。