[I-P3-3-03] 再右室流出路再建症例における右室流出路機能不全や右室心筋の病理所見と加算平均心電図
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【背景】加算平均心電図で計測できる心室遅延電位(LP)は、心筋梗塞や心筋症等に伴う心筋障害で刺激伝導遅延が生じ発生する微小電位である。致死性心室性不整脈発現の予測因子であり、心室の病理学的線維化との関連性が指摘されている。成人先天性心疾患において、右室流出路機能不全をきたした症例では右室拡大や右室肥大等の心室障害を認めるが、LPとこれらの関連性を検討した報告はない。【方法】先天性心疾患二心室修復術後の症例において、RVEDVI、RVOT-PGならびに再右室流出路再建時に採取した右室自由壁の心筋組織の平均線維化率(%)や平均心筋細胞径(μm)と、LPの関連を後方視的に検討 した。【対象】2020年5月から2022年1月の間、右室流出路再建術時に右室心筋の術中生検を施行し、かつ術前に加算平均心電図を記録した13例。【結果】再右室流出路再建時の年齢は平均24.2 (± 13.5) 歳。ファロー四徴が11例、両大血管右室起始2例。右室流出路狭窄(PS)が5例、肺動脈弁閉鎖不全(PR)が6例、PSRが2例であった。術前に心室性不整脈の既往がある症例は2例(ともにLP陽性)であった。術前のカテーテル造影検査でRVEDVIは158.3 (± 46.0) ml/m2、RVOT-PGは32.9 (± 25.8) mmHgであった。平均線維化率は39.6 (± 20.2) %、平均心筋細胞径は26.5 (± 7.7) μmであった。LP陽性のものは、5例(PS 2例, PR 2例, PSR 1例)であった。LP陽性例と非陽性例で、RVEDVI: 183.8 (± 57.8) vs 142.3 (± 31.1) ml/m2 (p=0.10)、RVOT-PG: 30.0 (± 17.8) vs 34.8 (± 30.8) mmHg (p=0.42)、線維化率: 54.7 (± 16.9) vs 30.2 (± 16.4) % (p=0.02)、心筋細胞径 : 29.2 (± 6.8) vs 24.9 (± 8.1)μm (p=0.17)であった。繊維化率のみ有意差を認めた。【結語】心内修復術後右室流出路機能不全例において、LP陽性例では線維化率が有意に高かった。