[I-P3-3-06] 成人先天性心疾患外来への移行が困難な症例の検討
キーワード:成人先天性心疾患, 移行期医療, フォロー
[緒言・目的]和歌山県立医科大学附属病院では2019年10月に循環器内科で成人先天性心疾患外来が開設された。患者の情報共有を目的として週1回小児科・循環器内科・心臓血管外科・麻酔科の担当医師が集まってカンファレンスを施行している。開設以降、2021年3月の時点で小児科から87名の患者が循環器内科に紹介され、その後も着実に紹介される患者が増加している。多くは循環器内科での診察に完全移行する一方、循環器内科への移行が進まない患者も複数存在する。今回はそのような症例の特徴や移行を妨げる原因などについて検討する。[結果]移行困難症例は87例中6例であった。年齢は抄録作成時点で平均34歳7か月。性別は男性1例・女性5例。疾患はTOFが4例、DORVが1例、VSD/DCRVが1例。2例は最終手術に未到達でチアノーゼが残存している。残り4例は心内修復済みだが知的障害を合併している。6例中5例で利尿薬やβ遮断薬などの内服が継続されている。社会的側面については6例とも就業できておらず両親と同居、5例は外来受診に家族の同伴が必須で患者単独では受診できない。[考察]これらの症例は全て何らかの障害があり自立できていないため、患者の意思決定には家族の影響が大きい。また小児科との関係が長期に渡ったためか、本人や家族が小児科との関係継続を希望し循環器内科への完全移行を希望しないなどの点で共通している。このような症例をどのようにフォローアップするかが今後の課題である。