[I-P3-3-08] 当院における心疾患患者の成人診療科への紹介状況
Keywords:移行, 小児心疾患, 成人診療科
【はじめに】小児期発症の慢性疾患の内科への移行は、小児科のすべての領域で問題になっている。当院でも成人年齢に到達する心疾患患者が増加している。【方法】2017年から2020年の5年間で、当科から成人診療施設へ紹介状を作成した症例を抽出し、内科への移行の状況を検討した。【結果】移行症例は131例(年間12~38例)。性別は男性79例、女性52例、移行年齢は15~27歳(中央値19歳)。移行先は病院が127例(このうち先天性心疾患外来53例)、医院が4例。継続内服例が31例で、知的障害の合併例が22例(このうちダウン症候群12例)あった。疾患別では先天性心疾患90例、不整脈19例、弁膜症(先天性の形態異常を含む)13例、その他9例であった。先天性心疾患のうち手術後(カテーテル治療を含む)は72例で、全例根治手術(機能的根治手術)が施行されていた。ファロー四徴症(19例)、心室中隔欠損症(16例)が多く、フォンタン術後が10例であった。未手術例は18例で、心室中隔欠損症が大部分(14例)を占めた。未手術の理由は、軽微な病変14例、手術適応境界域3例、手術困難例1例であった。不整脈のうち治療を必要としていたのは5例で、他の14例は経過観察のみであった。弁膜症の多くは軽微な病変であったが、心不全の急性増悪のために手術目的で転院した例が1例あった。疾患別の移行年齢に差はみられなかった。移行が23歳以降になったものが7例あり、理由は他科の移行困難2例、受診中断後の再受診2例などであった。【まとめ】先天性心疾患の移行例が多く、並存疾患のある症例の移行も少しずつ進んでいる。移行年齢は20歳前後でおおむね妥当と思われた。しかし一方で移行困難例は把握できていない。内科へのスムーズな移行のための支援は不可欠と思われる。