[I-P3-3-09] ファロー四徴症修復手術後の成人における大動脈基部拡大と弾性低下に関する前向きコホート研究 (TRANSIT)
キーワード:ファロー四徴症, 大動脈基部拡大, aortopathy
【背景】Fallot 四徴症( TOF )修復手術後に,大動脈基部拡大(AD)が合併するといわれているが,日本での実態は明らかでない.【方法】TOFの修復手術後の成人を対象に,前向きに3年間のコホート研究を実施した.今回,調査開始時の症例をAD群(心エコーでのバルサルバ洞径>日本人正常値の平均値+標準偏差×2)と非AD群に分け,関連因子を検討した.【結果】対象120症例(20~61歳,中央値29歳,男61例)のうち,ADは実測値で54例(45%),補正値で50例(42%)に認めた.多変量ロジスティック回帰分析で,ADに有意に関連した因子は,実測値では女性(オッズ比2.68,95%信頼区間1.22 - 5.88)とアンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)またはアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)の使用(0.20, 0.05 - 0.78),補正値では女性(2.82, 1.24 - 6.41),左室短縮率(0.91, 0.85 - 0.98)と白血球数(0.68, 0.53 - 0.88)だった.【結論】TOFのADは約40%に認められ,女性に高率であった.ADと収縮能低下との関連性,ADに対するACEI/ARBの有効性が示唆された.計画通り縦断的にフォローすることにより,ADの詳細な実態と適切な管理法が明らかになると期待される.