[I-P3-4-01] 当センターにおけるEXCOR装着後の感染性合併症の特徴と治療
Keywords:EXCOR, 補助人工心臓, 感染症
【背景】補助人工心臓に関連した感染症は予後悪化因子であり、送脱血管貫通部感染は主因の一つであるが、管理方法は確立していない。【目的】当センターにおける、EXCOR装着後の送脱血管貫通部感染について発症時期と検出菌の特徴、管理の実際をまとめる。【対象と方法】2015年7月から2021年12月31日までにEXCORを導入した7例(女3例、男4例)の診療録から、性別、生年月日、原疾患診断、装着日、送脱血管貫通部の初発日、膿性浸出液の初発日、抗菌薬投与あるいは外科的処置の記録、貫通部で検出された菌、および治療予後を抽出した。【結果】EXCOR装着時年齢は中央値1.9歳(0.6~9.8)、心不全の原因疾患は拡張型心筋症6例(86%)、先天性心疾患1例(14%)、補助期間は280日(37~1026)である。送脱血管貫通部発赤は全例で認められ、初発日は29日目(21~134)であった。5例(71%)で痛みあるいは熱を伴う膿性浸出液を認めた既往があり、初発日は73日目(35~129)であった。発熱を伴わなければ2週間の内服、効果不十分例や発熱例に対しては4週間の静注投与、反復例では間欠期に予防的内服治療を導入した。反復例のうち1例は補助453日目から移植日まで280日間の陰圧閉鎖療法を行った。菌血症例はなかった。5例の監視培養では、メチシリン感性S. aureus MSSAとKlebsiella pneumoniaeが各3例、メチシリン耐性S.epidermidis MRSとKlebsiella oxytoca、E.Coli各2例などが検出された。初めて検出された日は41日目(24~56)であった。最終予後は移植到達が2例、離脱1例、待機中4例であった。【考察】最近の海外データでは、EXCOR装着後30日時点までの感染症合併率が113/320(35.3%)と報告されている。当センターの経験では30日時点の治療介入例はないが、その後の発症率はやや高い傾向にあった(p=0.25)。【結語】EXCOR装着後早期に、ブドウ球菌、グラム陰性菌の感染が多く観察され、長期抗菌薬投与となる実態が明らかになった。