第58回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター発表

心不全・心移植

ポスター発表(I-P3-4)
心不全・心移植 II

2022年7月21日(木) 16:20 〜 17:20 ポスター会場

座長:小林 俊樹(埼玉医科大学国際医療センター 小児心臓科)
座長:星合 美奈子(山梨県立中央病院小児循環器病センター 小児科)

[I-P3-4-01] 当センターにおけるEXCOR装着後の感染性合併症の特徴と治療

進藤 考洋1, 藤村 友美1, 丸山 和歌子1, 浦田 晋1, 三崎 泰志1, 武井 哲理2, 近藤 良一2, 金子 幸裕2, 小野 博1, 賀藤 均1 (1.国立成育医療研究センター循環器科, 2.国立成育医療研究センター心臓血管外科)

キーワード:EXCOR, 補助人工心臓, 感染症

【背景】補助人工心臓に関連した感染症は予後悪化因子であり、送脱血管貫通部感染は主因の一つであるが、管理方法は確立していない。【目的】当センターにおける、EXCOR装着後の送脱血管貫通部感染について発症時期と検出菌の特徴、管理の実際をまとめる。【対象と方法】2015年7月から2021年12月31日までにEXCORを導入した7例(女3例、男4例)の診療録から、性別、生年月日、原疾患診断、装着日、送脱血管貫通部の初発日、膿性浸出液の初発日、抗菌薬投与あるいは外科的処置の記録、貫通部で検出された菌、および治療予後を抽出した。【結果】EXCOR装着時年齢は中央値1.9歳(0.6~9.8)、心不全の原因疾患は拡張型心筋症6例(86%)、先天性心疾患1例(14%)、補助期間は280日(37~1026)である。送脱血管貫通部発赤は全例で認められ、初発日は29日目(21~134)であった。5例(71%)で痛みあるいは熱を伴う膿性浸出液を認めた既往があり、初発日は73日目(35~129)であった。発熱を伴わなければ2週間の内服、効果不十分例や発熱例に対しては4週間の静注投与、反復例では間欠期に予防的内服治療を導入した。反復例のうち1例は補助453日目から移植日まで280日間の陰圧閉鎖療法を行った。菌血症例はなかった。5例の監視培養では、メチシリン感性S. aureus MSSAとKlebsiella pneumoniaeが各3例、メチシリン耐性S.epidermidis MRSとKlebsiella oxytoca、E.Coli各2例などが検出された。初めて検出された日は41日目(24~56)であった。最終予後は移植到達が2例、離脱1例、待機中4例であった。【考察】最近の海外データでは、EXCOR装着後30日時点までの感染症合併率が113/320(35.3%)と報告されている。当センターの経験では30日時点の治療介入例はないが、その後の発症率はやや高い傾向にあった(p=0.25)。【結語】EXCOR装着後早期に、ブドウ球菌、グラム陰性菌の感染が多く観察され、長期抗菌薬投与となる実態が明らかになった。