[I-P3-4-04] 地方医療機関から考える心臓移植の出口戦略~心臓移植に送り出す施設の役割~
キーワード:心臓移植, 啓発, 出口戦略
【背景】国内で心臓移植が可能となったものの、ドナー不足による移植待機者の増加が問題となり、その打開策を見出さなくてはならない。小児の心不全治療に関わる施設、医療者が協力して模索していく必要があるが、移植施設に委ねている部分が大きいのが現状である。【目的】当院経験症例を通して、地方施設の立場から小児心臓移植の出口戦略を模索する。【対象】当院でフォロー中の移植患者1例、ventricular assist device(VAD)装着および装着検討した2例。【症例1】拘束型心筋症の渡航移植症例。国内移植施設と連携しながら、安定した管理を行えている。移植後9年が経過した現在、本人と家族がメディアへの取材協力や教育機関での講演を通して、当院医師と協力しながら積極的な啓発活動を行っている。【症例2】11歳女児、左室心筋緻密化障害の症例。移植施設との連携がスムーズに行え、植込み型VAD装着。近隣にVAD管理施設がなく、移住を必要とした。【症例3】拡張型心筋症の1歳女児。ECMO、カテコラミン離脱困難な状態でVAD施設への転院を検討時、EXCORの空きがない問題に直面した。幸いリカバーし現在は内服のみで外来管理中。【まとめ】VAD不足や管理施設の整備は課題であるが、何より臓器提供が増えない以上、出口戦略の見通しは立たない。我々にできることは地道な啓発活動であるが、移植に関する知識は十分とは言えず、一般の方への啓発は十分に行えていない。一方で移植患者とその家族の協力は大きい。移植施設へ紹介する立場である以上、地方医療機関としても心臓移植に関する知識を深め、積極的な啓発活動を行っていく必要があり、その方法や体制づくりが今後の課題である。