ポスター発表（I-P3-4）
心不全・心移植 II

[I-P3-4-05] EXCOR離脱例の検討

^○伊藤 裕貴¹, 坂口 平馬¹, 市川 肇², 福嶌 教偉³, 黒嵜 健一¹ (1.国立循環器病研究センター 小児循環器内科, 2.国立循環器病研究センター 小児心臓外科, 3.国立循環器病研究センター 移植医療部)

キーワード：EXCOR, 心不全, 移植

【背景】
EXCOR®によって小児の心不全死は減少したものの、長期にわたるEXCOR®装着中の合併症は少なくない。またEXCOR®装着中に心機能が回復し離脱可能な症例があるが、まとまった報告は少なく、離脱例の特徴や離脱後の経過は不明点が多い。
【対象および方法】
対象は当院に入院しEXCOR®を装着した小児心不全患者21例。患者背景、EXCOR®装着前後および離脱後の経過などについて診療録を用いて後方視的に調査し、EXCOR®離脱に関連する因子について検討した。
【結果】
心機能回復によるEXCOR®離脱は21例中５例 (24％)であり、初期診断は全例が拡張型心筋症であった。全例が他院からの転院症例であり、補助循環を装着した状態での搬送が３例であった。当院入院後からEXCOR®装着までは中央値12日 (5-18)日であり、いずれの症例も医学的緊急度、重症度が高くEXCOR®装着前に心筋生検を施行できていなかったが、EXCOR®装着時の心筋生検では心筋炎を疑わせる症例が5例中３例あり、経時的に心機能の改善を認めた。離脱例のEXCOR®装着期間は中央値124 (71-700)日であった。離脱例のEXCOR®離脱後の心機能は良好で、心不全による再入院例はなかった。
【考察】
治療方針決定のためには早い段階での心筋生検が望ましい。心筋炎症例ではEXCOR®離脱の可能性だけでなく、EXCOR®装着を避けられる可能性もある。