[I-P3-5-01] 右肺低形成を伴うpartial anomalous left pulmonary arteryの1例
キーワード:肺動脈分岐異常, PA sling, 肺低形成
【背景】 aberrant (anomalous) left pulmonary artery (PA sling) は左肺動脈が右肺動脈から起始する稀な先天性心疾患であるが、partial anomalous left pulmonary artery (pseudo PA sling)は左肺動脈の一部が右肺動脈から分岐するさらに稀な肺動脈分岐異常である。今回心臓の右方偏位を契機に心臓造影CTにて上記診断に至った症例を経験したので報告する。【症例】日齢0、体重2546gの女児。生後にチアノーゼを認め他院NICUに紹介となり、心室中隔欠損症 (VSD) の診断で当院NICUに搬送となった。胸部単純写真では心陰影は右方に偏位していた。心臓超音波検査でVSD (perimenbranous) および左肺動脈狭窄を認めた。入院後はチアノーゼや呼吸障害、喘鳴は認めなかった。心陰影が右方に偏位しているため右肺の低形成を考えたが、肺動脈は右ではなく左が細いことに違和感を感じた。気管支や肺、肺血管の形態を精査する目的で日齢10に心臓造影CTを施行した。CTで肺動脈は左右に分岐した後、左肺動脈の一部が右肺動脈から分岐していた。右肺動脈から分岐した左肺動脈は気管の背側を通過し左下葉に走行していた。さらに右肺は低形成で、右上葉の気管支に分岐異常を認めた。画像では気管・気管支の狭窄所見はなく、入院中に気管狭窄の症状は出現しなかった。経過良好で日齢22に退院した。【まとめ】肺低形成の精査でpartial anomalous left pulmonary arteryを診断した。PA sling類縁疾患だが異なる症状を呈することもあり、その臨床像は不明な点が多く、今後症例の蓄積が必要である。