第58回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター発表

肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患

ポスター発表(I-P3-5)
肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患 II

2022年7月21日(木) 16:20 〜 17:20 ポスター会場

座長:柴田 映道(慶應義塾大学医学部 小児科学)
座長:手島 秀剛(市立大村市民病院 小児科)

[I-P3-5-06] 孤立性片側肺静脈閉鎖症の診断と治療

山田 洸夢1,2, 宗内 淳1, 渡邉 まみ江1, 杉谷 雄一郎1, 小林 優1, 江崎 大起1, 蓮把 朋之2, 大塚 雅和2 (1.JCHO九州病院 小児科, 2.長崎大学病院 小児科)

キーワード:孤立性片側肺静脈閉鎖症, 肺動脈楔入造影, 肺静脈再建術

【目的】孤立性片側肺静脈閉鎖症の診断時期は臨床症状(反復する喀血や肺炎)に依存し、年齢を経てからの診断は肺血管床低形成により外科治療による効果が見込めず保存的観察となる。本研究では治療時期の限界について自験4例を含め検討することを目的とした。【方法】片側性肺静脈閉鎖症自験4例と既報33例(文献検索)に基づき手術治療の有無や予後に関して検討した。【結果】診断時年齢中央値4(0.5-43)歳:症状出現年齢中央値1.5(0.13-18)歳:症状出現から診断まで中央値2.2年(0-35.8)、自験4例は診断時年齢中央値7.45(3.6-36.2)歳:症状出現年齢中央値1.3(0.3-3.5)歳:症状出現から診断まで中央値5.95年(0.5-35.8)だった。症状は反復する呼吸器感染27例と最多で、喀血23例、呼吸障害14例であった。新生児例では呼吸障害が初発症状だった。患側は右側26例、左側11例。肺動脈楔入造影を行われていたのは19例で記載がある症例では肺静脈腔径平均4.9(2.7-9.7)mmだった。肺静脈再建術は4例(10.8%)に行われ(自験1/4例)、手術時年齢平均4.9歳だった。肺静脈再建術の術式は病側肺切除11例、病側肺静脈再建術4例であった。再建術実施群(N=4)と再建術未実施群(N=33)を比較した場合、診断時年齢では有意差がなかったが(4.9vs.10.5、P=0.34)、肺静脈径が有意に高値だった(9.7vs.3.3mm、P=0.01)。患側が右側であり肺静脈径>9mmであれば外科的修復を行っていた。【考察】孤立性片側肺静脈閉鎖症では5歳頃に外科的介入限界点があることが示唆された。繰り返す呼吸器感染症や喀血を認める症例では胸部X線・CT検査でスクリーニングを積極的に行い、肺動脈楔入造影による肺静脈の確認が手術適応決定では重要である。