[I-P3-5-09] 主要体肺側副血行路の攣縮に対してミルリノンが有効であった一例
Keywords:MAPCA攣縮, ミルリノン, 22q11.2欠失症候群
【背景】主要体肺側副血行路(MAPCA)は心室中隔欠損症を伴う肺動脈閉鎖(PA/VSD)において肺循環を維持するうえで重要な血管である。今回、我々はMAPCA攣縮に対してミルリノン投与で攣縮および症状が消失した一例を経験したので報告する。【症例】胎児診断でPA/VSDと診断され在胎37週1日、体重2054gで出生した。出生後リポプロスタグランジンE1製剤を使用し、日齢11に撮像した造影CTでPA/VSD/MAPCAと診断し中止した。MAPCAは下行大動脈から分岐し中心肺動脈を含めた全肺に血流を供給していた。体重増加を待ち、中心肺動脈にシャント手術を行う方針であったが、生後1ヶ月頃よりMAPCAの攣縮と思われる低酸素発作を認めた。Sildenafilの投与で一時的に症状改善していたが、その後も頻回に低酸素発作認めるため予定を早めてカテーテル検査実施した。カテーテル検査実施後、再度MAPCA攣縮による低酸素発作認めたため、酸素投与、一酸化窒素投与開始するも症状改善しなかったためミルリノン開始した。ミルリノン投与後に攣縮と症状の改善認め、日齢66にシャント術を施行した。その後、肺血流増加に伴う心不全を認めたため、日齢73にMAPCA離断術を施行し、状態安定したため退院となった。【考察】MAPCAの病理組織では、中膜には弾性繊維はやや乏しく細胞成分が多く、弾性型から筋型への移行型動脈の特徴を認めた。また、内弾性板の一部が破綻しており、一部細胞が内膜に遊走しており内膜肥厚の所見を認めた。移行型動脈の特徴を呈していたことと、内膜の細胞性肥厚の所見が攣縮に関係している可能性が考えられる。またMAPCA攣縮は肺血流を著しく減少させ、有効な薬剤がないとされていたが、本症例ではミルリノンの投与で攣縮が改善し、症状改善することができた。