[I-P3-5-10] ECMOで改善しない肺高血圧を呈した大動脈縮窄合併の1男児例
キーワード:難治性肺高血圧, Alveolar capillary dysplasia with misalignment of the pulmonary veins, FOXF1遺伝子
【【はじめに】出生後に著明な肺高血圧(PH)となる胎児疾患には横隔膜ヘルニアや肺静脈(PV)狭窄を伴う総肺静脈還流異常などがある。特定の心疾患や形態的肺低形成のある疾患以外で胎児期に出生後のPHを予測することは難しい。【症例】母体は6妊0産、胎児左室低形成を指摘され在胎18週6日に当院へ紹介。PV血流が乏しく左室低形成(横径-2.6Z)、isolated CoAと診断した。肺血流増加に伴い左室横径は-1.3Zまで拡大した。在胎39週4日、経膣分娩で出生、出生体重3430g、Apgar score8/8だった。心エコーは胎児所見と相違なくPGE1を開始した。気胸と著明なPHを認め挿管し胸腔ドレーンを挿入し、NO、Epoprostenolも開始した。生後21時間頃にSpO2 60%、Oxgenation Index55.5であっためECMO装着とし、日齢11に離脱した。離脱後もNO20ppm、Epoprostenol 40γ、FiO2 100%の管理を要するPHが続いた。日齢27の造影CTでPV狭窄なく多発無気肺を認めた。PH発作を頻回に来し日齢46に永眠された。病理所見は、肺胞壁が分厚く、弾性繊維が乏しく、毛細血管の数の少なさと分布異常を認めた。肺静脈の位置異常も認め、病理組織からはAlveolar capillary dysplasia with misalignment of the pulmonary veins(ACD/MPV)を疑う結果であった。脱落臍帯からFOXF1遺伝子異常を検査した。遺伝子変異は認めなかったが、16q24.1q24.2部分欠失を認め、欠失領域にFOXF1遺伝子が含まれていた。【考察】ACD/MPVは約90%にFOXF1遺伝子異常を認める。本症例ではFOXF1遺伝子を含む欠失によりACDを発症したと考える。次子への影響を考慮し今後両親のSNPマイクロアレイ検査を検討している。