第58回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター発表

外科治療

ポスター発表(I-P3-6)
外科治療 II

2022年7月21日(木) 16:20 〜 17:20 ポスター会場

座長:上村 秀樹(奈良県立医科大学先天性心疾患センター)
座長:根本 慎太郎(大阪医科薬科大学 医学部外科学講座 胸部外科学教室)

[I-P3-6-02] 心室中隔欠損を伴う肺動脈閉鎖に対する右室流出路再建方法の検討

城尾 邦彦, 落合 由恵, 岡本 光司, 中田 悠介, 山下 慶之, 徳永 滋彦 (JCHO九州病院 心臓血管外科)

キーワード:心室中隔欠損を伴う肺動脈閉鎖, Rastelli手術, TAP修復術

【背景】心室中隔欠損を伴う肺動脈閉鎖症(PA/VSD)に対する右室流出路(RVOT)再建において,Rastelli手術は導管交換が必須であり,主肺動脈近位部の形態によってはtransannular patch(TAP)修復術も選択肢である.【目的】PA/VSD修復術(ICR)後の右室機能,RVOT再介入について,RVOT再建術式に応じて検討する.【方法】2002年以降に当院にてICRを行なったPA/VSDのうち,当院で経過観察を行った39症例を対象とした.Rastelli26例(R群)とTAP13例(T群)に二群化し,心カテーテルおよび心エコー検査による右室機能評価,RVOT再介入について後方視的に検討した.【結果】染色体異常はR群で多かった(R/T群:12/1例, P=0.002).先行治療として体肺動脈シャント術を25例(40回)/11例(16回),MAPCAのUFを6/2例,PDAステント留置術をT群1例で行なった.ICR前心カテーテル検査のPA index,RVEDP,RVEF,RVEDVIに群間差なし.手術時年齢は4.3/3.0才(中央値,p<0.05),手術時体重は13.4/10.7kg(中央値, p=0.09).R群はhand-made ePTFE-3弁付導管,T群はePTFE-1弁付パッチを用い,2015年以降はbulging sinus付きを使用.R群の導管サイズは14/16/18/20/24mmがそれぞれ2/8/13/2/1例であった.死亡例なし.ICR直後の心臓カテーテル検査(中央値21日)ではRVEDP,RVEF,RVEDVIは同等であった.直近の心エコー検査(中央値5.4年)ではPR(0.7±0.7/2.2±0.8, p<0.01)および右室拡大(14/11例, p=0.08)をT群で多く認めたが,右室収縮力指標FAC,TAPSEは両群とも保たれていた.末梢PAに対するカテーテル治療は8/6例,RVOTへの再手術症例はR群2例(術後11, 13年)であり,再手術回避率はT群で高い傾向があった(p=0.08).【考察】PA/VSDに対するTAP修復術は,PRによる右室機能の低下は許容されており,RVOT再手術回避率は高い傾向にあった.より長期の検証が必要であるが,症例によっては妥当な術式と考えられる.