[I-P3-6-05] Blalock-Taussigシャントと動脈管温存低侵襲strategyの挑戦
キーワード:Blalock-Taussigシャント, PDA strategy, 治療戦略
【目的】先天性心疾患のうち一部の短絡性疾患は,肺循環と体循環のバランスをコントロールしながら児の成長を待ち,段階的に直列循環に修復していく.今回われわれは,Blalock-Taussigシャント(BTS)を振り返り,candidateの特徴と手術の妥当性を検討した.また,低侵襲を意図して,動脈管を肺血流路として用いる治療戦略(PDA strategy)につき,その有用性を比較した.【対象・方法】2010年4月-2022年1月にBTSを施行した連続171例と,同時期に,PDA strategyを採った連続5例を対象とした.診療録を元に,後方視的に検討した.【結果】BTSは,男児:女児=96:75,手術時日齢3-12歳(中央値0.19歳(2.3ヶ月)),体重2.4-32.1(中央値4.1)kgで,うち31例(18.1%)が体重3 kg未満,113例(66.1%)が5 kg未満であった.低酸素または循環不全のため,12例(7.0%)で術前からECMOを必要とした.BTSの基本手順は,胸骨正中切開(154例(90.1%))アプローチによるPTFE人工血管(169例(98.8%))の敷設で,121例(70.8%)で体外循環を用い,68例(39.8%)は動脈管閉鎖以外の何らかの手技を併施し,そのうち最多は肺動脈形成36件(21.1%)であった.Ebsteinに対するStarns術後の1例(0.6%)を除く170例が耐術した.一方,PDA strategyは男児:女児=3:2,手術時日齢6-16(中央値14日(0.5ヶ月)),体重2.0-3.1(中央値2.5)kgで,循環不全のため1例が術前からECMOを必要とした.肺動脈閉鎖,動脈管開存を含む複雑心疾患の3例は,PGE1投与下に動脈管を絞扼し,肺血流を制御した.Ebsteinの 2例は,Starns手術におけるBTSの代わりに自己の動脈管を温存し,肺血流路として利用した.術前からECMOを要した1例を除く4例が耐術した.【まとめ】BTSの手術成績は容認可能と考えられた.PDA strategyの経験は少数であるものの,症例を選択して適応することで,今後の発展に期待したいと考えている.