第58回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター発表

外科治療

ポスター発表(I-P3-6)
外科治療 II

2022年7月21日(木) 16:20 〜 17:20 ポスター会場

座長:上村 秀樹(奈良県立医科大学先天性心疾患センター)
座長:根本 慎太郎(大阪医科薬科大学 医学部外科学講座 胸部外科学教室)

[I-P3-6-07] ファロー四徴症修復における肺動脈弁輪温存とTAPの検討

松本 一希1,3, 永田 佳敬1, 佐藤 純1, 吉井 公浩1, 今井 祐喜1, 吉田 修一郎1, 西川 浩1, 大橋 直樹1, 櫻井 寛久2, 野中 利通2, 櫻井 一2 (1.JCHO中京病院 小児循環器科, 2.JCHO中京病院 心臓外科, 3.名古屋掖済会病院 小児科)

キーワード:ファロー四徴症, transannular patch, PAVI

【背景】ファロー四徴症の心内修復手術の成績は近年極めて安定した。Transannular patch(TAP)を回避し、可能なかぎり肺動脈弁温存することは、右室容量負荷を減らし再手術を防ぐ可能性があり、高いQOLを保つと思われる。【目的】当院における弁輪温存の基準を肺動脈弁(PAV)のZ scoreやPulmonary valve index(PAVI)などを元に検討する。【対象】2011年8月1日から2021年12月31日までに当院でTOFの手術を行った110例について後方視的に検討した。体表面積はDuboisの式を用いて検討を行った。【結果】110例中、弁輪温存は74例(67.3%)でTAPは36例(32.7%)であった。術前カテーテル検査で肺動脈弁輪が測定可能な96例について検討を行った。手術時の日齢平均は311日であり、弁輪温存ができるかどうかのPAVのZ scoreは-1.07以上で感度85.2%,特異度56.5%,AUC 0.71であった。PAVIは1.64以上で感度88.9%,特異度53.6%,AUC 0.72であった。術前のカテーテル検査での心室容量に有意差はなかったが、TAP群で有意に術前にRVOT stentやBVPなどのinterventionが行われた。弁輪温存でRVpatchを使用した群は、術後に流出路(RVOT)狭窄を来す傾向にあった。術後のRVOTの流速やPRの程度に有意差は認めなかったが、心室容積はTAP群で拡大を認めた。術後の死亡はなかった。弁輪温存からTAPにコンバートした例は7例あり、5例で弁輪温存を行ったが人工心肺離脱後に右室圧が高く術中にTAPへ変更となり、2例で術後にRVOTが4m/s以上であったため再手術となった。【考察】当院では、術中にブジーを用いてPAVを測定し、PacificoのPAVの基準を用いて術中に弁輪を温存するかを検討しているため、既報よりZ scoreやPAVIが高い症例で弁輪温存を行っていると思われた。また早期に一期的心内修復を行うことで高い弁輪温存率となる可能性がある。【結語】ZscoreやPAVIを用いて弁輪温存の基準を検討することで、MVOPを回避し弁輪温存を選択できる可能性がある。