第58回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター発表

外科治療

ポスター発表(I-P3-6)
外科治療 II

2022年7月21日(木) 16:20 〜 17:20 ポスター会場

座長:上村 秀樹(奈良県立医科大学先天性心疾患センター)
座長:根本 慎太郎(大阪医科薬科大学 医学部外科学講座 胸部外科学教室)

[I-P3-6-08] 当院における肺動脈弁欠損を伴うFallot四徴症に対する手術治療成績

松永 慶廉, 畑岡 努, 岡村 達 (群馬県立小児医療センター 心臓血管外科)

キーワード:ファロー四徴症, 肺動脈再建, 気管支病変

【背景】肺動脈弁欠損を伴うFallot四徴症は稀な疾患である, 特に新生児・乳児期に呼吸障害を発症する症例は特に予後不良とされおりその手術成績報告は多くはない.【目的】今回当院で手術加療をおこなった4例についてretrospectiveに早期, 遠隔期の成績について検討した.【方法】対象は, 2011年1月から2021年12月までに施行した肺動脈弁欠損を伴うFallot四徴症の手術症例4例につき検討した. 観察項目としては, 手術時年齢, 手術時体重, 術前呼吸状態, 術前SpO2, 術式(右室流出路再建方法, および肺動脈形成方法), 手術時間, 術後挿管管理期間と臨床経過につき評価した. 【結果】症例4例、手術時の平均年齢は7.6ヶ月(3~18か月)、平均体重は5.7kg(3.6~8.4kg)、染色体異常を認めたのは1例で22q11.2欠失症候群であった. 4例中3例は術前に呼吸器補助を要していた. 右室流出路再建方法としては1弁付きパッチで再建したのが3例, Contegraを用いたのは1例だった. 拡張した肺動脈に対する術式には, 肺動脈縫縮が2例, Lecompte法を用いたのは2例であった. 術後3例は人工呼吸器離脱ができたが, 1例は気管切開を要し, 現在も在宅人工呼吸管理を行なっている. 再手術を要した症例は2例で1例は肺動脈狭窄解除, 1例は1弁付きパッチ老朽化に対し3弁付き導管に交換した. 手術死亡はなかったが, 遠隔期死亡は1例認めた. また術式別に比較した際に肺動脈縫縮をした2症例が術後CT検査での気管支病変の残存傾向が示された.【結論】過去10年間に当院における, 肺動脈弁欠損を伴うFallot四徴症に対する手術成績は, おおむね良好であった. しかし, 遠隔期に死亡症例を経験した. また術後の気管病変残存に関して、今後手術時期や術式についても検討していきたいと考えている.