[I-P3-6-09] ファロー四徴症に対する体肺動脈シャントの成績
Keywords:ファロー四徴症, Blalock-Taussigシャント, セントラルシャント
【背景】当院ではファロー四徴症(TOF)で肺動脈径、左室容量が小さい患者に対し、二期的根治を行っている。【目的】TOFに対する体肺動脈シャント(SPS)の成績を評価する。【方法】1999~2021年にTOFで初回姑息術としてSPSを施行した14名(15手術例)を対象とした。SPSから根治までの臨床経過を振り返り、心臓カテーテルやcomputed tomography所見からSPSの肺動脈の発育や左室容量への効果を検討した。【結果】Modified Blalock-Taussig shunt (mBTS)は7例。左側開胸が4例で正中切開が3例。人工心肺は正中アプローチの3例で使用した。導管は4mmが5例で3.5mmが2例であった。肺動脈指数(PAI)はSPS前(日齢30、体重3.9 kg)169から根治前(日齢322、体重7.7 kg)315に拡大し(p= 0.02)、左室拡張末期容積(LVEDV)は対正常78から112%に拡大傾向を示した(p= 0.05)。Central shunt (CS)は8例。全例正中切開で行い、人工心肺を5例で使用した。導管は3.5mmが6例で3mmが2例。PAIはSPS前(日齢44、体重3.2 kg)152から根治前(日齢265、体重7.3 kg)344に拡大し(p= 0.01)、LVEDVは対正常77から95%に拡大した(p= 0.04)。シャント狭窄・閉塞はCSの2例、mBTSの1例で経験し、mBTSの1例はCSへの変更を行った。全例根治へ到達した。根治での右室流出路再建は、弁輪温存1例、trans-annular patch 10例、右室肺動脈導管3例であった。【考察】TOFに対するSPSにはmBTSとCSの2つの術式があった。CSで小さな導管を使用した。根治までの待機期間にPAIは2倍に、LVEDVは1.2~1.5倍に増大した。末梢肺動脈の成長は十分であったが、肺動脈弁輪を温存できる症例は少なかった。【結論】TOFに対するSPSは、肺血管の成長を促し、左室容量を増大させ、根治前の条件を改善させる手術であった。