[I-P3-6-10] ファロー四徴症および類縁疾患に対する乳児早期心内修復術の成績
Keywords:ファロー四徴症, 右室流出路形成, 乳児
【背景】ファロー四徴症 や右室流出路狭窄を伴う両大血管右室起始症など、右室流出路形成を要する心内修復術 (以下、ICR) は低月齢での施行においても死亡率は低いことが報告されているが、再介入の時期や頻度への影響はいまだに不明である【目的】上記疾患群における乳児早期ICRの成績を明らかにすること【方法】当院で2012年1月から2021年12月までにICRを完了し、追跡可能であったファロー四徴症および右室流出路狭窄を伴う両大血管右室起始症44例について、ICRを月齢3未満で行ったE群とそれ以降に行ったL群に分類し、背景因子、出生時およびICR前の心血管構造に関するパラメーター、再介入の有無について比較した【結果】E群5例 (術後観察期間48(2-83)か月)、L群39例 (同56(3-120)か月)で、経過中の死亡例は認めなかった。両群間で出生体重(E: 2.9kg vs. L: 2.9 kg, p=0.80)、基礎疾患(20% vs. 38%, p=0.42)、Trans-annular patchを用いたICR症例(80% vs. 51%, p=0.22)、再介入率(20% vs. 15%, p=0.79)に差を認めなかった。心血管構造に関するパラメーターは、ICR前のPA indexのみE群が有意に低値であり(136 vs. 256mm2/m2, p=0.006)、ICR前の肺動脈弁輪径のz valueは両群間で差を認めなかった(-3.6 vs. -3.2, p=0.22)。再介入に対する多変量解析では、3か月未満およびPA indexはいずれも関連を認めなかった【考察】早期の外科介入が必要となる場合に、肺動脈弁や肺動脈の成長に対してBTシャントなどの姑息術を行うことがICR後の再介入率を低下させるという報告がある。しかし、本検討でE群はICR前のPA indexが低値であるものの、肺動脈弁輪径はL群と差はみとめず、修復方法や観察期間中の再介入も両群間で差は認めなかった【結論】右室流出路形成を要する心内修復術を乳児早期に行うことは必ずしも早期再介入につながるものではない。少数例だが死亡例もなく、乳児早期に外科介入を行う際に一期的修復は検討しうる