[I-P3-6-11] Fallot四徴症に対する新鮮自己心膜による肺動脈弁形成を用いたtransannular patch repairの中期成績
Keywords:Fallot四徴症, transannular patch repair, 肺動脈弁形成
【背景・目的】狭小肺動脈弁輪に対するvalve sparing(VS)の良好な成績が報告されている現代でも,transannular patch repair(TAP)はTOF根治術のうち半数以上を占めており,TAPの成績を向上させることは依然重要な課題である.我々はSungらが提唱した肺動脈弁尖のaugmentationを併用したTAPを行っており,その短期・中期成績を検討する.【方法】2018年4月から2021年12月に当院でTOF根治術を施行した42例のうち,Rastelli型手術や完全房室中隔欠損症の合併を除いた37例(TAP群12例,VS群25例)を対象に後方視的に検討した.以下,数値はTAP群/VS群で示す.手術時年齢(ヵ月):11.7±6.2/12.1±3.2,手術時体重(kg):7.4±0.9/8.0±0.9,体肺動脈短絡手術あり(%):42/20,術前肺動脈弁輪径% of normal(PVD% of normal):58 (49-80)/83 (64-129) (p<0.001),肺動脈一尖弁または二尖弁(%):100/68,術前右室流出路最大流速 (RVOT Vp) (m/s):3.8±0.5/4.0±0.5であった.【結果】観察期間中央値(ヵ月):15.9(2.3-40.8)/21.5(4.2-42.5)において中期死亡はなく,最終follow-up時はPVD% of normal:98(93-132)/86(64-125) (p=0.02),RVOT Vp(m/s):2.2±0.6/2.7±0.6(p=0.01),右室圧左室圧比:0.40(0.34-0.66)/0.42(0.35-0.73) (p=0.86)であった.Kaplan-Meier法を用いた術後PR≧moderate回避率は1年(%):64.2/100,3年(%):21.4/100(p<0.001)とTAP群で有意に低く.肺動脈弁への再介入回避率は1年(%):100/96,3年(%):100/96(p=0.51)と両群間で有意差はなかった.TAP群の67%で新鮮自己心膜弁尖は開放位で固定していた.【考察・結論】新鮮自己心膜を用いたTAPは,肺動脈弁輪径の拡大と肺動脈狭窄の解除に関して良好な成績であったが,術後早期より新鮮自己心膜弁尖の可動性低下によりPRの増悪をきたす傾向にあった.弁尖形成の素材を工夫するなどによりさらなる成績向上の余地がある.