[I-P3-6-12] ファロー四徴治療戦略における体肺動脈短絡手術について
キーワード:ファロー四徴, 体肺動脈短絡術, 再手術
【背景】低体重児でのファロー四徴根治術は再手術介入率が高くなる事が報告されたため、我々は治療方針を以下のように変更した。1、体重が4kgに達する以前にチアノーゼ進行により自宅養育が困難と判断された場合は、体肺動脈短絡手術を先行する。2、根治手術は体重が5~7kgに達した段階で行う。【目的】今回、当院におけるファロー四徴症の治療成績を報告し、治療方針を検討する。【方法】対象は、2009年6月から2020年1月に、ファロー四徴根治術を施行された55人を対象とした。初回手術が根治手術であった群をprimary群、初回に体肺動脈短絡術を施行し、段階的に根治手術に至った群をstaged群と定義した。この2群で、患者背景、手術内容、術後成績について比較を行った。【結果】primary群が38例(平均観察期間5.9年)、staged群が17例(同5.1年)であった。2群間でのBSA、体重、根治手術時年齢、に優位差は認めなかった。根治手術時の肺動脈弁輪径は、primary群8.1mm(z-value-3.5)とstaged群7.8mm(z-value -3.9)間に有意差は認めなかった。primary群がtrans-annular-patch(TAP)法になるodds比は、0.72で有意差は認めず、全体でvalve-sparing(VS)法29例、TAP法26例であった。右室流出路再手術介入は、primary群2例、staged群2例であり、有意差は認めなかった。いずれも右室流出路再狭窄が再手術の理由であった。最終右室流出路圧格差は、VS法: 16.8mmhg、TAP法: 11.4mmhgで優位にVS法が高かった(p=0.05)。肺動脈弁逆流はVS法2.0度、TAP法2.3度と有意差は認めなかった。【考察】 体肺動脈短絡術を行う事によって、体重が増えるまで待機できる事によって肺動脈弁輪径の差異がなくなり手術成績も変らない結果になったと考えられた。【結語】 チアノーゼが強いファロー四徴の患者に体肺動脈短絡手術を先行することで、根治手術時の体重増やしprimary群と術後成績が変わらないようする事ができた。