[I-P3-6-13] TOF修復術後遠隔期に中耳炎を契機としたMRSA縦隔洞炎の治療
Keywords:MRSA縦隔洞炎, 右室流出路再建, 術後遠隔期
【背景】開心術後において感染性縦隔洞炎は致命的な合併症であり、人工物を用いた場合は数年にわたる慎重な観察が必要である。
【症例】12歳、男児。21trisomy、ファロー四徴症(TOF)、肺動脈閉鎖、動脈管開存、鎖肛で、生後1ヶ月時に肺動脈形成および体肺動脈短絡術、11ヶ月時に修復術を受けた。さらに、2歳時に右室仮性瘤切除と心外導管手術を受けた。10歳時当院に紹介転院となり、導管狭窄に対して生体弁導管再置換術を施行した。以降約2年間は経過良好であったが、慢性中耳炎を契機に血圧低下、DICを認め、血液培養にてメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を検出し、敗血症と診断された。CT検査の結果、導管周囲に多量の液貯留を認め、縦隔洞炎を疑った。VCM+RFP+GM投与を開始したが、数日後に正中創が破綻し膿汁が噴出したため開胸ドレナージ術を施行した。開胸状態で縦隔洗浄を2週間継続した後、創部培養陰性、血液培養陰性を確認して4度目のRVOTR(conduit repair)の方針とした。
【手術・経過】人工弁および導管を可及的に切除した。人工弁には疣贅の付着を認めた。23mm Free-Style弁と牛心膜パッチを用いてRVOTRを施行し、胸骨断面を十分にdebridementした後に一期的に閉胸、閉創した。新生児期の人工肛門造設既往より、大網充填は行わなかった。それまでの長期開創と洗浄の影響があり、創縁が広範囲に壊死したため、開創しNPWTid療法を行い、POD10に有茎大胸筋皮弁による再閉創を行った。術前より継続していたDAP投与を術後18週間継続した。術後計3度のCT検査を含めた経過観察を行い、感染再燃がないことを確認し、RFPおよびST合剤内服を継続しPOD131に自宅退院となった。現在、術後1年以上が経過しているが、感染再燃は認めていない。
【結語】慢性中耳炎から右室流出路導管に感染が波及したと推察されるTOF術後遠隔期のMRSA縦隔洞炎症例を経験した。治療経過について若干の文献的考察を含め報告する。
【症例】12歳、男児。21trisomy、ファロー四徴症(TOF)、肺動脈閉鎖、動脈管開存、鎖肛で、生後1ヶ月時に肺動脈形成および体肺動脈短絡術、11ヶ月時に修復術を受けた。さらに、2歳時に右室仮性瘤切除と心外導管手術を受けた。10歳時当院に紹介転院となり、導管狭窄に対して生体弁導管再置換術を施行した。以降約2年間は経過良好であったが、慢性中耳炎を契機に血圧低下、DICを認め、血液培養にてメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を検出し、敗血症と診断された。CT検査の結果、導管周囲に多量の液貯留を認め、縦隔洞炎を疑った。VCM+RFP+GM投与を開始したが、数日後に正中創が破綻し膿汁が噴出したため開胸ドレナージ術を施行した。開胸状態で縦隔洗浄を2週間継続した後、創部培養陰性、血液培養陰性を確認して4度目のRVOTR(conduit repair)の方針とした。
【手術・経過】人工弁および導管を可及的に切除した。人工弁には疣贅の付着を認めた。23mm Free-Style弁と牛心膜パッチを用いてRVOTRを施行し、胸骨断面を十分にdebridementした後に一期的に閉胸、閉創した。新生児期の人工肛門造設既往より、大網充填は行わなかった。それまでの長期開創と洗浄の影響があり、創縁が広範囲に壊死したため、開創しNPWTid療法を行い、POD10に有茎大胸筋皮弁による再閉創を行った。術前より継続していたDAP投与を術後18週間継続した。術後計3度のCT検査を含めた経過観察を行い、感染再燃がないことを確認し、RFPおよびST合剤内服を継続しPOD131に自宅退院となった。現在、術後1年以上が経過しているが、感染再燃は認めていない。
【結語】慢性中耳炎から右室流出路導管に感染が波及したと推察されるTOF術後遠隔期のMRSA縦隔洞炎症例を経験した。治療経過について若干の文献的考察を含め報告する。