[I-P3-7-10] TCPC後に狭小VSDの拡大を要したTA2bの一例
キーワード:狭小VSD, 三尖弁閉鎖, TCPC後
8歳,三尖弁閉鎖症(TA) type2bの女児.日齢23日に動脈管結紮,1歳3ヶ月時にGlenn手術を施行.この際心室中隔欠損(VSD)での血流加速はなく,肺動脈は離断し肺動脈弁は縫合閉鎖した.2歳8か月時にextracardiac total cavopulmonry connection(TCPC)を施行した.術後経過は良好でVSDでの流速は軽度の加速を認める程度であった.
以後も自覚症状はなかったが次第にVSDでの血流加速が増加し,7歳時にVATER連合に伴う脊椎側弯の術前精査の際に施行した心エコーでは3.46m/sであった.心臓カテーテル検査では左室収縮期圧は151mmHgと著明に上昇し右室との圧差は81mmHgであった.CVP15mmHg, LVEDP12mmHgとフォンタン循環への影響が大きく周術期リスクが高いと判断し手術適応とした.ただし肺動脈弁が縫合閉鎖されておりDKS吻合は施行不可能と判断し,低形成の右室経由でVSD拡大を行うこととした.
心表面エコーにて冠動脈走行を確認した上で切開位置を想定.心停止下に右室切開にて直下にVSDを確認した.右室側からVSD位置や閉鎖した三尖弁との位置関係も正確に認識できた.VSD前上縁から心基部方向へと切開を延長し心室中隔壁を可及的に切除.途中肺動脈弁のvalsalvaが視認できる位置まで到達しVSD拡大を完了した.最終的にVSD径は6mmから15mm程度となった.
術後は房室ブロックや大動脈弁閉鎖不全等の合併症はなく第1病日に抜管し以後の経過は良好であった.術後心エコーでVSD部での圧差はなく4か月後に施行した心臓カテーテル検査では左室収縮期圧は90mmHgで右室までの引き抜き圧差は0mmHgであった.
本症例では右室低形成で術野に制約があるものの,結果として正確な解剖を認識することで十分に安全なVSD拡大が施行できた.ただし房室ブロックや心機能低下のリスクを伴う手術であり本来好ましい状況ではなかった.大血管転位を伴う三尖弁閉鎖症例ではVSD径に少しでも懸念があればDKS吻合を追加するべきだと思われた.
以後も自覚症状はなかったが次第にVSDでの血流加速が増加し,7歳時にVATER連合に伴う脊椎側弯の術前精査の際に施行した心エコーでは3.46m/sであった.心臓カテーテル検査では左室収縮期圧は151mmHgと著明に上昇し右室との圧差は81mmHgであった.CVP15mmHg, LVEDP12mmHgとフォンタン循環への影響が大きく周術期リスクが高いと判断し手術適応とした.ただし肺動脈弁が縫合閉鎖されておりDKS吻合は施行不可能と判断し,低形成の右室経由でVSD拡大を行うこととした.
心表面エコーにて冠動脈走行を確認した上で切開位置を想定.心停止下に右室切開にて直下にVSDを確認した.右室側からVSD位置や閉鎖した三尖弁との位置関係も正確に認識できた.VSD前上縁から心基部方向へと切開を延長し心室中隔壁を可及的に切除.途中肺動脈弁のvalsalvaが視認できる位置まで到達しVSD拡大を完了した.最終的にVSD径は6mmから15mm程度となった.
術後は房室ブロックや大動脈弁閉鎖不全等の合併症はなく第1病日に抜管し以後の経過は良好であった.術後心エコーでVSD部での圧差はなく4か月後に施行した心臓カテーテル検査では左室収縮期圧は90mmHgで右室までの引き抜き圧差は0mmHgであった.
本症例では右室低形成で術野に制約があるものの,結果として正確な解剖を認識することで十分に安全なVSD拡大が施行できた.ただし房室ブロックや心機能低下のリスクを伴う手術であり本来好ましい状況ではなかった.大血管転位を伴う三尖弁閉鎖症例ではVSD径に少しでも懸念があればDKS吻合を追加するべきだと思われた.