第58回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター発表

外科治療

ポスター発表(I-P3-7)
外科治療 III

2022年7月21日(木) 16:20 〜 17:20 ポスター会場

座長:川﨑 志保理(順天堂大学 心臓血管外科)
座長:帯刀 英樹(宮城県立こども病院 心臓血管外科)

[I-P3-7-12] 10歳のフォンタン患者に対して左側開胸アプローチによる心筋電極および左後側方ジェネレーター移植術を行った1例

松葉 智之1, 緒方 裕樹2, 井本 浩3, 四元 剛一4, 塩川 直宏5, 森田 康子6, 櫨木 大祐7, 野村 裕一8 (1.鹿児島市立病院 心臓血管外科, 2.鹿児島市立病院 心臓血管外科, 3.鹿児島市立病院 心臓血管外科, 4.鹿児島市立病院 心臓血管外科, 5.鹿児島市立病院 小児科, 6.鹿児島市立病院 小児科, 7.鹿児島市立病院 小児科, 8.鹿児島市立病院 小児科)

キーワード:フォンタン, ペースメーカー植え込み, 左側開胸

先天性心疾患ではペースメーカーや除細動器などの電子機器が必要となる場合があるが,生命予後が改善するに伴い,それら電子機器を必要とする患者の創部に対する美容的側面が注目されるようになってきた.今回,我々はフォンタン術後初回ペースメーカー植え込み患者において左側開胸アプローチによる心筋電極および左後側方ジェネレーター移植術を施行した症例を経験した.
症例は10歳,男児,DILV (rudimentary RV), VA discordance.11生日目にPA banding, 生後10ヶ月時にBDG+DKS+ASD enlargement, 3歳時にextracardiac TCPC (18mm)を施行した.8歳時での定期検査では房室解離所見はなく,トレッドミル施行時の洞機能不全の所見もなかった.頻回の腹痛を主訴に受診し,精査の結果,完全房室ブロックであった.心筋電極による初回ペースメーカー植え込みの方針となり,左側開胸による心房・心室リードおよび左後側方へのジェネレーター留置術を行った.術後の経過は問題なく,術後10日目に自宅退院となった.
患児は小学生であり,前胸部の皮下組織は薄く,同部位へのジェネレーター留置はランドセル等を背負う際に問題となる可能性があると考えた.左後側方でのジェネレーター留置の場合,広背筋下にポケットを作製することでジェネレーターの突出が目立たずランドセル等を背負う際にも邪魔にならないと考えた.また左開胸アプローチと併せて行うことで解剖学的左心室へ心筋電極を留置することが可能であり,同一術野からポケット作成も行うことが出来るため,術後の創部に対する患者満足度も非常に高いものとなった.