[I-PD01-01] 遺伝性不整脈に対するランジオロールの役割
Keywords:ランジオロール, 遺伝性不整脈, QT延長症候群
【背景】ランジオロールはヒトでの血中薬物濃度半減期が、約4分の短時間作用型β1遮断薬であり、周術期の頻脈性不整脈に対する緊急処置薬として使われてきたが、2013年11月に心機能低下例における頻脈性不整脈の効能・効果が追加され、心不全増悪急性期などにおける頻脈性不整脈のレートコントロールに使えるようになった。【ランジオロールの特徴】ランジオロールは短時間作用型β1遮断薬で、β1選択的遮断薬であることからプロプラノロールのような選択性のないβ遮断薬のように気管支収縮をきたしにくい。またエスモロールと比較しても変力作用が弱く、変時作用が主要な効果であり血圧低下を極力避けながら、心拍数を低下させることができる。また半減期が4分とβ遮断薬の注射薬の中ではもっとも短いことで、投与を中止すれば、すぐに効果が消失することで使用しやすい薬剤と考えられる。【遺伝性不整脈での報告】小児での報告はほとんどないが、LQT2患者の出産時の使用経験の報告が2件であり、β2作用がないため子宮への影響も少ないと考えられる。LQT2の高齢虚血患者での有効性の報告もある。小児では、カテコラミン誘発多形性心室頻拍での報告があり、経口β遮断薬が投与されている患者での心室細動時の投与も検討される。【まとめ】小児の心機能低下例における頻脈性不整脈を対象とした多施設共同非盲検対照試験が行われ、成人とほぼ同様の有効性が示されており、今後小児への適応拡大が期待される薬剤である。