[I-PD01-05] カテコラミン誘発多形性心室頻拍患者における神経発達障害の調査
Keywords:CPVT, 神経発達障害, 遺伝性不整脈
【背景・目的】CPVTは心臓のみに表現型をもつ遺伝性不整脈疾患として認識されてきたが、2019年の多施設共同国際研究で、CPVT1の8%に知的障害を合併すると報告された。この研究は明らかな障害を示した者を対象としており、有病率を過少評価している可能性があった。今回、横断的調査を行いCPVT患者の神経発達障害を調査した。【方法】対象は当院外来通院中のCPVT患者(無症状の病原遺伝子保因者なし)で、虚血性脳障害による運動障害があるものは除外した。2021年1月から2022年1月に、療育手帳の有無など社会的背景の調査、頭部画像検査、精神科または小児神経専門医の診察と知能検査(WISC-4またはWAIS-4)を行った。【結果】CPVT患者13人のうち重度心身障害1人を除外。療育手帳を有していたのは6/12(50%)。各種検査を施行できたのは9名で、男7/9(78%)、RyR2バリアントあり7/9(78%)、確定診断時年齢中央値9歳(レンジ3-18)、調査時年齢18歳(11-24)。画像検査では陳旧性脳損傷1人、くも膜嚢胞1人。知能検査の結果は、全検査IQ(FSIQ)中央値69(レンジ49-93)、各指標は言語理解72(59-106)、知覚推理64(56-100)、ワーキングメモリー85(62-97)、処理速度81(50-94)。各指標間で5%水準以上のディスクレパンシーが1つ以上あるものが8/9名(78%)いた 。FSIQ<70のものが5/9(56%)おり、これに検査未施行の療育手帳保有者を加えると7/12(58%)に軽度以上の知的障害があると推定された。【考察・結論】CPVT患者の神経発達障害の合併は従来の報告より高率の可能性がある。生命予後改善には、運動制限や薬物治療のアドヒアランスが長期間良好に保たれる必要がある。軽度の神経発達障害は見逃されることがあるため、これらが潜在することも考慮して適切な介入を行うことが重要である。