[I-SY02-01] 胎児心エコー検査ガイドライン改定のポイントと活用方法
キーワード:胎児心エコー, 先天性心疾患, 出生前診断
昨年、胎児心エコー検査ガイドライン第2版が出版された。ガイドライン初版の特徴は胎児心エコー検査をスクリーニング(レベルI)と精査(レベルII)に分類し,各レベルで行うべき検査範囲を明示したことと,倫理的配慮も解説したことであった。初版が2006 年に発行され2010 年には胎児心エコー検査の健康保険収載が認められ,胎児心エコー検査が胎児に対する医療行為として広く認知されるに至った.初版が発行されて15年の間に画像技術,医療関係者の考え方,生殖医療を取り巻く環境が変化し、胎児心エコー検査の役割が変わりつつある。 1.画像技術進歩は目覚ましく,三次元あるいは四次元心エコー図,Dual Doppler,心血管MRI,組織ドプラ,ストレインなど胎児心臓の構造および機能の評価はさらに深まっている.しかし,胎児心臓は新生児の心臓と同等な評価ができないため,どの機能をどのように使用すればよいのか不明な点も多い.2.出生後のチーム医療が胎児診療の主目的になりつつあり,技術的進歩のみならず,経験の蓄積が大きく関与している.このため胎児診断症例の重症度を判定し,出生後に速やかに救命できるような治療指針が望まれている.3.出産年齢の高齢化によって妊娠早期の胎児検診の需要が増え、胎児異常を予測する検査マーカーが充実し,胎児の遺伝子検査が安全に行われるようになった.産科医と協力して検査を行い,クライアントへのカウンセリングも重要な項目になっている.以上の状況を踏まえた本ガイドライン改定の格子は、以下の3点である。1.新しい画像技術と胎児心臓機能評価方法2.胎児診断を出生後治療につなげる治療指針3.出生前診断に必要なカウンセリングさらに検査ガイドラインで初めてクリニカル・クエスチョン(CQ)形式による検査のエビデンスを解説し、実臨床で使用する方法と根拠を明示した。