[I-SY02-03] 大動脈縮窄の出生前診断にDistal aortic arch indexは有用である
Keywords:Fetal Echocardiography, coarctation of the aorta, Distal aortic arch index
【目的】胎児期に大動脈縮窄(CoA)を抽出するいくつかの指標が存在するが、偽陽性率が高いことが問題である。出生後CoAの診断に大動脈弓第2、第3分枝間距離と遠位大動脈弓径の計測の有用性が報告されており、本研究は胎児期CoAの診断率を向上させるための新しい基準を検討することを目的とした。【対象と方法】対象は2016年5月から2021年4月までに胎児心エコーでCoA疑いと診断された30例。計測部位は右室径・左室径、三尖弁輪径・僧帽弁輪径、肺動脈径・上行大動脈径、肺動脈弁輪径・大動脈弁輪径、動脈管径・大動脈峡部径のZ scoreとそれぞれの比、また新たな指標としてDistal aortic arch index (DA index=大動脈弓第2、第3分枝間距離/遠位大動脈弓径)を算出し、生後の手術介入群(S群)・非介入群(N群)に分け、患者背景も含めて後方視的に比較検討を行った。【結果】全30例のうち、S群は13例、N群は17例であった。検査週数、出生週数、出生体重は両群間で有意差を認めなかった。各計測値のうち有意差を認めたものは、大動脈峡部径Z score(-3.6±1.0 vs -1.3±1.8, p<0.001)、動脈管径/大動脈峡部径(2.0±0.4 vs 1.5±0.4, p<0.001)、DA index(1.6±0.4 vs 0.8±0.3, p<0.001)の3項目であった。ROC解析ではDA indexがAUC 0.941と最も大きく、カットオフ値1.28で感度85%、特異度94%となった。また有意差を認めた3項目のうちDA indexの偽陽性率は5.9%と最も低かった。出生後にもDA indexを各症例で計測したところ、胎児期と同様にS群が有意に大きかった(1.5±0.6 vs 0.8±0.2, p<0.001)。【結論】DA index1.28以上は、外科的介入を要する胎児期CoA症例の抽出を可能にする。