[I-SY02-04] 移転後5年間の当院における胎児心エコー検査の現状とCOVID-19による影響
Keywords:胎児診断, 胎児心エコー, ガイドライン
【背景】胎児心エコー認証医制度の作成や胎児心エコー検査ガイドラインが改定され、レベル2胎児心エコー件数は増加している。当院は2016年末に移転後、胎児診断数が増加したが、2019年に世界的にCOVID-19が流行し他施設同様に胎児心エコー検査への影響を受けた。【目的】当院におけるCOVID-19流行による胎児心エコー検査数と胎児診断率への影響について検討する。【方法】2017年-2021年の5年間のレベル2胎児心エコー検査数、診断内訳、心臓外科手術の主要な先天性心疾患(CHD)の胎児診断率について2017-2019年と2020-2021年で後方視的に比較検討した。主なCHDは、右側/左側相同などの複雑性心疾患(Isomerism)、単心室(SV)、房室中隔欠損症(AVSD)、ファロー四徴症(TOF)/両大血管右室起始(DORV)、完全大血管転位症(TGA)、大動脈縮窄症(CoA)/大動脈離断症(IAA)、総肺静脈還流異常(TAPVC)。【結果】レベル2胎児心エコー検査は2017年 242件(86人)、2018年 355件(150人)、2019年 265件(109人)、2020年 195件(80人)、2021年 345件(145人)の計1402件(570人)。内訳はCHD54.6%、不整脈2.1%、正常31.2%、その他13.1%。胎児診断率は2017-2019年 vs 2020年 vs 2021年の比較で、Isomerism/SV:90.9% vs 100% vs 100%、AVSD:75.0% vs 33.3% vs 100%、TOF/DORV:50.0% vs 60.0% vs 100%、TGA:35.7% vs 25.0% vs 83.3%、CoA/IAA:28.6% vs 0.0% vs 42.9%、TAPVC:20.0% vs 0.0% vs 33.3%、主なCHD合計:54.5% vs 46.2% vs 77.1%。【考察、結語】COVID-19流行直後の2020年で胎児エコー検査が減少し胎児診断率も低下した。四腔断面、流出路、三血管気管断面でわかりやすいIsomerism、SV、TOF/DORVでは診断率が下がらなかったが、従来から診断に注意を要するTGA、CoA/IAA、TAPVCでは診断率が低下した。COVID-19により短時間での検査が望まれる中、特に上記疾患に注意したスクリーニングが重要である。