[I-SY04-05] 看護師が考える緩和ケア :ファシリティドッグの活動に至るまで
キーワード:緩和ケア, ファシリティドッグ, 先天性心疾患
「緩和ケアって、特別なことだろうか?」。今回登壇するにあたり、思考を巡らせたが、先天性心疾患患者の看護に20年以上携わり、現在に至る自分の中では、常日頃、ケアの目標としていたことである。痛みだけでなく、身体的・心理社会的・スピリチュアルな問題に対応して、苦痛の予防や緩和をし、患者と家族のQOLを改善する。それは、 日々患者のそばに一番寄り添っている看護師の役割でもあり、看護師は多職種と協働し、さまざまな意思決定場面で支援しながら介入している。ただ、先天性心疾患の医療は目覚ましく進歩し、胎児診断から始まり移植医療等々、医療技術は高度化・複雑化し、医療従事者は専門分化した立場で関わることも多くなった。患者家族の価値観とも向き合いながら、多職種が協働してチーム医療でさまざまな課題に向き合わなければならない。 患者家族のさまざまな苦しい困難な多くの場面に直面してきた演者であるが、最終的には「寄り添う」これが、全て解決に導いてくれていたように思う。患者家族に寄り添うだけでなく、医療者の寄り添いも然りである。そしてそんな時に出会ったのが、ファシリティドッグのベイリーである。ファシリティドッグは、患者が痛みや恐怖と闘う時、そっと寄り添い、それを和らげる。「ベイリーがきてくれれば、頑張れる」「ベイリーは静かにそばにいてくれるんだよ、それがいい」そんな言葉を多く聞いた。ずっと歩かなかった患者が、ファシリティドッグを見て、歩くようになった、自宅に帰りたいと言うようになったと見聞きした。ファシリティドッグがいるだけで、病院の一室があたかも自宅のように変化する。これは、自分自身が最もケアの目標としたいと思うことであった。そして、日々患者家族と向き合う医療従事者をも癒し、力をくれる。看護師であるハンドラーと共に医療チームの一員として働くファシリティドッグの活動も紹介したい。