[I-SY06-01] 医療者や社会が提供すべきIPAH/HPAH長期生存者に対するトータルケア
Keywords:トータルケア, 精神的ケア, 社会的満足度
肺高血圧症の治療の進歩に伴い、小児期に発症した特発性/遺伝性肺動脈性肺高血圧症(IPAH/HPAH)の長期生存者が増えています。喜ばしいことですが、長期間にわたり在宅持続静注療法を含む治療を継続する必要もあり、本人や家族の苦労や悩みも多い。幼少時に治療を始めた児が思春期に入ると、健康な人と自分との違いが実感されて心が痛み、時には自暴自棄になることもあります。進学にあたっても、思うように勉強ができない、志望校の受け入れ態勢が整わないなどの問題が生じます。自身のキャリアパスを思い描こうとしても、病気や治療のことが気になって、前向きに考えることができない。ようやく仕事についたら、はじめは周囲が病気のことを気遣ってくれたが、最近はふつうに残業をさせられる。このように、長期間IPAH/HPAHとともに生活をすることは容易ではありませんが、患者さんたちは自分らしく生きようと努力をしています。自身の特異な経験をいかして、社会に貢献しようと奮闘している人もいます。私たち医療者には、長期間IPAH/HPAHとともに生きる患者さんに寄り添い、身体的な治療に尽力するとともに、精神的なケアを行い、社会的に充実した人生を送ることができるよう支援することが求められています。シンポジウムではIPAH/HPAHの長期生存例を示しながら、医療者、さらに社会が提供すべきトータルケアについて皆さんとともに考えます。