The 58th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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シンポジウム

シンポジウム06(I-SY06)
小児期発症の特発性及び遺伝性肺動脈性肺高血圧症の長期生存例に対するトータルケア

Thu. Jul 21, 2022 3:40 PM - 5:10 PM 第3会場 (大ホールC)

座長:石田 秀和(大阪大学医学系研究科 小児科)
座長:高月 晋一(東邦大学医療センター大森病院 小児科)

[I-SY06-05] 小児期発症の特発性及び遺伝性肺動脈性肺高血圧症の長期生存例の現況

中山 智孝1,2,3, 高月 晋一3, 清水 由律香3, 川合 玲子3, 松裏 裕行3 (1.高知赤十字病院 小児科, 2.高知大学 医学部 小児思春期医学講座, 3.東邦大学医療センター大森病院 小児科)

Keywords:肺動脈性肺高血圧症, 特発性, 長期生存

小児期発症の特発性/遺伝性肺動脈性肺高血圧症(I/HPAH)は生命予後改善に伴い成人に至る症例が増加している。希少疾病ゆえ長期生存例の現況や問題点に関する情報は不足している。1998年12月以降、2015年12月までに当院を受診し定期観察した初診時年齢18歳未満のI/HPAH症例は60例の総括を報告する。初診時年齢は9.7(0.2-17.6)歳、男32/女28、遺伝性は16例(27%)。年度別では2005年以前が42例(70%)と多く、新規患者は減少している。死亡は14例、うち2005年以前の症例が11例(79%)を占め、初診から死亡まで4.7(1.2‐17.4)年、死因は心不全(9)・突然死/PHC(3)・喀血(2)。肺移植は9例(生体5・脳死4)、移植時年齢は14.5(10.2-27.3)歳、初診から移植までの期間は6.3(2.0-16.5)年、7例が長期生存中。5年以上定期観察から外れた4例を除く、生存33例の観察期間は18.7(6.6-23.5)年で、現在の年齢は28.9(13.5-39.9)歳、WHO機能分類2度が22例(67%)、就労状況はフルタイム(14)・パート(3)・無職/在宅療養(9、うち精神疾患1・発達障害3)・学生(7)。治療の内訳は23例(70%)が非経口PGI2を含む3剤併用療法、離脱3例を含む10例が経口薬での2剤または3剤併用療法を継続中。直近の検査では平均肺動脈圧(MPAP)が49(17-93)mmHg、平均右房圧が4(1-9)mmHg、PVRIが11.6(2.1-32.4)WU・m2、心係数が3.4(1.9-5.5)l/min/m2、PVR/SVRが0.63(0.15-1.32)、6分間歩行が534(384-790)メートル、BNPが23.5(<4.0-844)pg/mL。診療科は10例(30%)が内科転科または共診中、残り7割の症例は小児科管理のままで移行医療は進んでいない。当院での小児期発症I/HPAH長期生存例の多数が青年期に達している。肺血管拡張薬の併用療法でもMPAPが十分低下していないにも関わらず長期にわたって病状安定が得られている。今後、中年期を迎えるにあたり移行期医療も検討課題である。