第58回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

シンポジウム

シンポジウム07(I-SY07)
内科治療→補助循環→移植へ 適切なブリッジと出口戦略を日本全体の問題として考える

2022年7月21日(木) 14:00 〜 15:30 第5会場 (中ホールB)

座長:小垣 滋豊(大阪急性期・総合医療センター 小児科・新生児科)
座長:平田 康隆(東京大学医学部附属病院 心臓外科)

[I-SY07-01] 18年間にわたるbridge to transplantationの取り組みと今後の展望

小野 稔, 平田 康隆, 柴田 深雪, 八鍬 一貴, 寺川 勝也, 木村 光利, 木下 修 (東京大学心臓外科)

キーワード:心臓移植, 補助人工心臓, Bridge to transplantation

目的:東京大学における心臓移植を目指した小児bridge to transplantationの18年にわたる成績を解析して今後の方向性を展望する。対象および方法:2004年から2021年までに移植を目的としてVADを装着した18歳未満の小児は37例であった。平均年齢10.1歳(1歳未満6例、1~10歳9例)、BSA 1.06 m2(1.0未満13例、1.0~1.2未満9例)で、原疾患はDCMが28例、心筋炎4例などであった。VAD補助の成績および移植を含めた生命予後を解析した。成績および予後については、年齢(10歳をカットオフ)、体格(BSA 1.2m2をカットオフ)、LVADとBiVAD、J-MACS profile別に比較を行った。結果:VADは、Nipro 12例、Excor 12例、Rotaflow 4例、植込み型VAD 9例であった(BiVADは6例)。補助期間は479日(最長46カ月)で、Nipro 383日、Excor 441日、Rota 185日、植込み型VAD 790日であった。VAD装着後の転帰は、移植21例(渡航8例、国内13例)、回復離脱5例、補助継続4例、BTB1例、死亡6例であり、移植と離脱を打ち切りとしたVAD装着後の生存率は、1年92.%、2年73.0%であった。移植患者の補助期間は551日であった。植込み型VADの生存率は100%であった。VAD装着後の観察は6.3年で、全生存率1年94.2%、5年77.9%、10年77.9%であった。移植後死亡は遠隔期1例であった。BSA2群間ではVAD装着後生存率、全生存率に有意差はなかった。LVADとBiVADの比較でも差はなかった。10歳で分けた場合およびJ-MACS profile別では、10歳以下の群およびprofile 1においてVAD装着後生存率は有意に低くなり、全生存率が低い傾向を示した。結語および考察:10歳未満、profile 1ではVAD装着後の予後は有意に不良であった。小児の移植待機期間は2年を超えつつあり、特に10歳以下の小児におけるVAD予後の改善が必要である。Profile 1での装着成績は有意に不良であり、計画的なVAD装着が予後を改善し得る。また何よりも、小児臓器提供者の増加を促す施策が重要である。